正法寺は平安時代に当時は春日禅房として創建した真言宗東寺派の別格本山。応仁の乱で消失するが、江戸初期に長圓律師により正法寺として再興。境内には本堂前庭と「鳥獣の石庭」があり昭和40年代後半~50年代前半にかけて、山本繁正氏と豊田造園に作庭された。
通称「石の寺」と呼ばれる正法寺は、600トンに及ぶ巨岩が全国各地から集められていることに由来。京都市の郊外にあり車以外では行きにくい場所にもかかわらず、拝観者が数名いるのはさすが京都である。
宝生苑にある枯山水「鳥獣の石庭」は、音羽山や醍醐山などの東山連峰を望む借景式山水庭園である。
庭園南東部には観音滝を設けている。滝水が水落石を伝って落とされており、大小の滝添石により力強さがありつつ、品良くまとめられている。
「鳥獣の石庭」と呼ばれる由縁は16石を動物に見立てているからである。たとえば、こちらは日本庭園では三尊石と、舟石、岩島という組み合わせであるが、こちらでは
写真のように三尊石の中央に巨石を「ぞう」に見立て、脇侍石は「ひつじ」と「ふくろう」に見立てている。そして岩島は「へび」、舟石に載せられた石は「浜千鳥」となっている。
左の三石には中央が「しし」、右が「子じし」、左が「いぬ」となっている。
こちらの巨石は「ふくがえる」と、右の伏せ石のようなものは「かめ」となっている。
奥の2石は右から「おうむ」「もぐら」となり、手前の2石は右から「うさぎ」「かえる」に見立てている。初回できていないものとして、ペンギンと「りす」があり境内の案内板をもとに探してみるのも楽しいだろう。
円形刈り込みに据えた一石の立石。
こちらは本堂前庭。巨石の迫力に圧倒される。
こちらは本堂前の枯れ流れ。流れの護岸手前は切石、奥は自然石を使っている。
宝生殿から額縁庭園を撮影。
春先には紅枝垂桜が咲き、1年で最も美しい姿を魅せてくる。
鳥獣の石庭 案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 16石を全て動物に見立てて全国でも唯一の前衛的な石庭。また右手が池泉庭園で左手が枯山水という地割りも良い。 |
× | 特に見当たらない。 |