宗鏡寺は室町前期に創建した臨済宗大徳寺派の寺院。その後、荒廃するが江戸初期に沢庵和尚により再興。沢庵和尚が徳川家光に「貯え漬け」を献上して気に入ったことから「沢庵漬け」と命名された。このような言い伝えより、「沢庵寺」とも呼ばれる。庭園は江戸初期に沢庵和尚によって作庭。
沢庵寺で知られる出石町の観光名所でもある宗鏡寺。本堂東側には沢庵和尚が作庭した「鶴亀の庭」がある。12月上旬の豊岡市にもかかわらず、まだ紅葉が少し残っていた。
庭園は上下二段であり、写真が下段の「鶴亀の庭」となる。池泉の中島が亀島となり、池の形を鶴に見立てているとのこと。
亀島は丸みを帯びた石を用いた具象的な意匠であり、左の石が亀頭石となり、中央には中心石を据えている。
上から見下ろすと亀島の亀尾石や亀脚石が分かりやすい。
そして池泉の全景を撮影して鶴をくみ取ろうとしたが、鶴は抽象的であることが多く、こちらも分かりにくい。右の長細い池泉が鶴の首だろうか。ちなみに、池泉の形状を鶴に見立てた庭園では、京都の両足院が挙げられる。
池泉には滝石組を設けている。滝石組中心に撮影してみると、、、
立石に存在感がある。池泉の形を鶴に見立てていることより、こちらは羽石と想像することもできる。
滝石組は下部は水が流れ、上部は枯滝石組になっている。滝頂部の石組を別角度から撮影すると、、
このような非常に力強い石組になっている。立石は遠山石を兼ねた蓬莱山だろうか。蓬莱山は不老不死の妙薬があるとされる伝説上の山であり、長寿を願う鶴亀庭園にはよく見られる。そして、滝上部に据えることで、遠山を表現して滝に遠近感を生み出す。ただ、書院からは植栽に阻まれ見えない。ここが唯一悔やまれるところである。
池泉東部の石橋。
庭園上段に登っていくと、こちらも沢庵和尚によって作庭された心字池がある。
池泉に2つの中島を造ったシンプルなものだが、落葉がなければ品格ある池泉庭園を感じとれたと思う。
本堂南庭へ。こちらは昭和初期に福岡県久留米市出身の画家・内野秀美によって作庭された。中央の横石はお釈迦様の涅槃(ねはん)している様子で、その周りに弟子に見立てた石を配して、仏教の繁栄を祈念している様子をイメージした枯山水である。涅槃:修行して悟られた人が亡くなること。
宗鏡寺の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 立体感のある二段式の池泉回遊式庭園。特に滝石組上部に設けた蓬莱石の石組が見事である。 |
× | 蓬莱石の石組が、植栽により書院からは確認できない。 |