東山荘
とうざんそう
東山荘は綿布商の伊東信一が大正時代に建築した別荘。伊東家の山荘から「東山荘」と名付けられ、昭和14年(1939)に一般開放。戦後しばらくの間は市長公舎となり、昭和43年(1968)に再度一般公開された。
建物は160坪の二階建てで、建物内部は予約制の有料貸出となっている。ただお茶会開催日であれば、無料で内部が開放されており、2024年前期では平日を中心に8日ほど設けられていた。
茶室「西仰庵」。延段は自然石のみで構成された「草の延段」。ちなみに切石のみで構成されたものを「真の延段」、自然石と切石が混ざったものが「行の延段」と呼ぶ。
茶室の屋根のある敷地に露地風な小さな石庭。コンクリートがみえないように全体に粗めの玉石が敷かれるだけ、上質な空間に変化するものだなぁと感心した。ちなみに、室内に露地を設けた例では、埼玉県川口市にある旧田中家住宅が見応えある。
滝からの流水は建物を際を流れる地割りになっている。これは古川美術館分館 爲三郎記念館(名古屋市)にも似ている。
お茶会開催日を狙って訪問して、二階座敷から庭園を見下ろしてみたいものだ。
植栽が多いため、ややジャングル的になっているが枯山水として紹介されている。枯池に飛石を打っており、この辺りの意匠は茶室「西仰庵」と同等の優れたデザイン性を感じる。ただ植栽により建物内からは枯山水を感じとれないため、建物側に面した植栽は伐採したほうが良いのではないかと感じた。
渓谷を模したような枯流れ。
火袋が三日月になった石灯籠。
庭園入口。飛石が途中で途切れているが、そのバランスが良いと感じた。
東山荘の案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 茶室内部に設けた露地風の石庭は、コンパクトな敷地を最大限に活かした意匠である。 |
× | 枯山水周辺の植栽により、建物から枯山水が見えにくくなっているのがもったいないと感じる。 |