明治2年(1869)に創建された靖国神社は、いつかは国に返すべき日本国の神社がゆえに、特定の宗教法人に入るべきでないという考えより神社本庁に属していない。(これ以外の理由で神社本庁に属していない寺院は多数ある)明治初期に神池庭園が造られ、平成11年(1999)に日本庭園研究会・吉河会長の指導のもと復元整備が行われた。
戦没者慰霊として靖国神社を参拝する人は多いが、本殿奥に古庭園まで足を伸ばす参拝者は少ない。ベンチに座って庭園を眺めながら休憩後、苑路を辿ってみよう。
神池には2つの中島が造られ、切石による石橋が架けられている。左手にみえる灰色の切石橋は、花崗岩の直橋としては日本一の長さである。
神池庭園の最大の見所が、深山幽谷(しんざんゆうこく)を感じさせる滝石組である。江戸中期以降は日本庭園が固定化し退化したといもいわれる明治初期に、このような意欲的な石組による庭園が造られた貴重な庭園である。現在みている庭園は、平成11年に日本庭園研究会・吉河会長の指導のもと復元整備が行われたものである。深山幽谷:人が訪れないような奥深い自然の地
栗石による洲浜(すはま)も造られ、コンクリート跡がみえない(そもそも利用していない可能性もあり)技法も見事である。また護岸石組は変化に富んでおり見応えある。洲浜:池泉の水を美しく魅せる技法である洲浜
亀石組にもみえる岩島。
中島に架けられた石橋、その右手には洲浜が造られている。
青石による切石橋は品格を感じさせるものである。
雪見石灯籠越しに池泉庭園を眺める。
茶室「洗心亭」の露地を望む。寂を感じられる露地で散策したいが、通常立ち入り禁止である。
東屋から神池庭園を望む。正面には先ほどの亀島にもみえる岩島がある。
横から亀島にみえる岩島を眺めながら休憩。1周5分ほどの小さな庭園であるが、都心の庭園としては見応えあるものである。
靖国神社案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 明治初期に造られた古庭園としては、室町・安土桃山時代を感じさせる意欲的な石組をみせてくれる貴重なものである。 |
× | 特に見あたらない。 |