大根島の観光スポットとして昭和50年(1975)に開園した池泉回遊式庭園。池泉牡丹、霧の涼風ミスト、ライトアップなど季節によって様々なイベントが開催される。
島根県の庭園といえば、安来市の足立美術館がダントツの知名度を誇るが、松江市にある由志園も見逃せない。こちらも見事な額縁庭園を楽しめ、足立美術館は庭園内を散策できないが、由志園では苑路散策もできる。
6,000坪の広大な園内には、池泉庭園を中心として枯山水や牡丹庭園など様々な庭園を回遊できる。また、季節によっては仕掛けもあり、例えばこちらは数分毎に景色を変える。
ご覧のように霧に包まれる。これは「霧の涼風ミスト」という仕掛けであり、このミストにより幾重にも雲が重なった景色に似ていることから「八雲の庭園」と名付けられている。
日本庭園の中央部の池泉も、霧に包まれ幻想的な景色を魅せてくれる。五葉松の植樹された中島は大根島を見立てている。なお霧の演出は、およそ6月~9月と紅葉シーズンなどに限られる。毎年変更される可能性もあり、最新情報は施設にお問い合わせ下さい。
池泉の護岸は、岸石組による立体感を持たせた区間と、丸太杭により庭園と池泉に連続性を持たせた区間に分かれて、広大な近代庭園にありがちな単調さを排除している。
様々な企画が行われている「牡丹の館」へ入ってみると、ミニチュアによる精巧な日本庭園が造られていた。写真は滝石組であり、本物の自然石で組まれた本格的なものである。日本庭園のミニチュアとしては、日本屈指のレベルだろう。
苔の作品も展示されていた。
由志園のアイコンでもある赤橋から「奥出雲の渓谷」と名付けられた渓流と池泉を眺める。この池泉は宍道湖を模したものであり、大名庭園にも劣らない景観だ。
渓谷の上流には「竜渓滝」と呼ばれる滝石組がある。石組は溶岩で構成され、滝の形式としては、二重にも三重にも水落石を重ねて水路をつくる「重ね落ちの滝」である。
続いて、枯山水へ。こちらは白砂青松庭(はくさせいしょうてい)と呼ばれる。白砂青松とは白砂と青々とした松によって造形したもので、日本の美しい海岸の風景を見立てているが、足立美術館の白砂青松庭とは異なるものであり、白砂青松は足立美術館の方が名を表していると思う。
白砂青松庭には、いくつかの石が組まれ、どの方向から眺めても散漫にならないように石の配列が工夫されている。
雲州人参ミュージアムに入ると、実に上品で高級感のあるパノラミックな額縁庭園が広がる。2枚目の写真も、ここから撮影したものであるが、ここは
カフェスペース「喫茶・一望」である。カフェは一段低い場所にあるため、先ほどの場所から撮影すると、人物の映り込みを気にすることなく額縁庭園を観賞できる見事な空間設計である。
由志園 庭園案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | シーズンによって様々な植物や仕掛けを楽しめ、また池泉庭園の造形も見事である。 |
× | ライトアップイベントがあるときには、照明機器が目立ち、枯山水にキラキラしたオブジェクトが設置されることもある。日本庭園を純粋に楽しむには、ライトアップが行われていないシーズンに訪れるほうが良いだろう。 |