善勝寺
ぜんしょうじ
臨済宗妙心寺派の善勝寺は安土桃山時代(1573~1592)に創建。境内には平成7年(1955)に作庭家・齊藤忠一の弟子である山口修氏によって造られた。
安土桃山時代に創建した由緒ある善勝寺。山門をはいるとすぐに枯山水の書院前庭が視界にはいる。観光寺院でない庭園ながらも、手入れがよく行き届いている。
書院前庭は「釈迦と十大弟子」と名付けられているので、11個の石で構成されていると考えた。そうすると、この刈込み周辺の石は11石あるため、青石による立石が釈迦となり、その周囲を10人の弟子で取り囲んでいるというものだろうか。
「釈迦と十大弟子」と思われる石組は、見方によっては右手前の石が亀頭石にもみえ、亀石組にもみえる。
砂紋が引かれた白砂には3石の岩島を据えている。
右側の枯山水には立石と横石で三尊石風に組まれた石組がみられる。3つとも石の色が異なるところに遊び心を感じる。
本堂と書院の間にも枯山水があり、2・2・3の7石で組まれている。個人的には小振りな石組が上品に配された枯山水に、巨大な石灯籠にアンバランスさを感じる。
三尊石風の石組に近づいて撮影。
本堂横には飛石でアプローチされた先には蹲居(つくばい)がある。蹲居については、新潟県新発田市の清水園の記事を参考にして欲しい。
瓦を縦に埋め込むことにより、波を表現しており面白い意匠である。
善勝寺で見逃しがちな庭園のひとつに、本堂の北側スペースである。
立石を中心とした石組で、狭い空間を最大限活かした石組だと思う。
このような角度でみると手前の舟石が山に向かっていくようにみえる。つまり立石は不老不死の妙薬があるとされる蓬莱山とみなすのが一般的な理解だろうか。
舟石は立派な石である。
蓬莱山に見立てたと思われる立石。
○ | 本堂北側にある枯山水が見事。細長い空間を最大限に活用し、舟石と蓬莱山に見立てた意匠が美しい。 |
× | 本堂前の小さな枯山水に大きすぎる石灯籠にアンバランスを感じてしまう。 |