興正寺は江戸時代(1688)に創建した高野山真言宗の寺院である。境内は西山と東山に分かれ、重要文化財の竹翠亭は西山にある。竹翠亭は大正時代に海運王として財を成した日下部久太郎の邸宅を、平成20年(2008)に現在地に移築されたもので露地も移築当時に作庭されたものである。
屋毎駅近くにある興正寺の境内に入りエスカレータに乗り左手に進むと茶室「竹林亭」が見えてくる。茶室「竹翠亭」では、抹茶を頂きながら露地と普門園に付随する蓬莱庭を見学できる。平成に移築された庭園ながらも、名古屋では本格的な庭園を見学できる貴重な場所である。
コロナ禍では予約制となっているが直前でも予約可能であった。立礼席(りゅうれいせき)で冷抹茶と和菓子を頂く。立礼席:椅子に腰掛けて気軽に抹茶を楽しめる席。
立礼席は2方向あり、逆方向は額縁庭園のように枯山水を楽しめる。
先ほどの額縁庭園を外で撮影してみる。苔の野筋に三尊石風に石を置いている。
茶室に付随しているお庭なので露地という位置づけになり、奥には露地門がある。周囲は竹林で囲まれているが故に、真夏にもかかわらず涼を感じさせてくれる。
過去の写真と比較してみると、2年ほど前までは白砂は無く、ほぼ全面苔庭となっていた。
左手には本格的な茶室もある。
左手の建物が茶室となり、茶室に入るために身を清める蹲踞(つくばい)もみられる。
奥の院にある普門園には、蓬莱庭と呼ばれる枯山水をみられる。
蓬莱庭は切長石と楕円形の芝庭を上手く組み合わせたモダンな意匠だ。
案内版には「鶴亀庭園の石」と記載され、写実的な亀石がみられる。元は名古屋の料亭「松月」のために、庭師・井上金松が作庭したもので、亀甲石が能登半島の自然石で亀頭石が揖斐川の自然石となっている。赤い岩頭は京都の鴨川産とのこと。なお鶴は書院側に移動され、一般見学できないとのこと。
竹翠亭をでて駐車場に戻ろうとすると、「お地蔵様の庭」と名付けられた庭園を発見。また東屋からは愛知県に唯一残る木造五重塔も見える。
石の洞窟をモチーフにしたような空間のお地蔵さんを置いている。宮城県の高千穂近くの天安河原みたいなイメージだろうか。
栗きんとんを包んだ和菓子がとにかく美味しかった。なお竹翠亭へは正面の大きな民間駐車場よりも裏手にある民間駐車場のほうが近いので、竹翠亭だけを訪問するのであれば裏手から入るのもいいだろう。
○ | 名古屋に居ながらにして京都のような空間で抹茶を頂きつつ、日本庭園をゆっくりと見学できる穴場スポットといえよう。 |
× | 特に見当たらない。 |