森重堅邸庭園(知覧武家屋敷)
もりしげみつていていえん(ちらんぶけやしき)
知覧武家屋敷庭園のひとつ「森重堅邸庭園」は江戸中期(1741)に作庭された。知覧武家屋敷で唯一の池泉庭園である。
市営無料駐車場のすぐ近い場所にある森重堅邸庭園は、知覧武家屋敷で唯一の池泉庭園である。こちらでは、知覧武家屋敷にある7つの庭園を共通で巡れる券売所があるので、スタート地点として最適。ちなみにチケットはなんと知覧の庭園パンフレットだった。
「凄い・・・」、門をくぐって思わず声が漏れた。コンパクトながら豪壮な雰囲気を漂わせており、このインパクトは大袈裟に表現すると京都の名園「大徳寺 大仙院書院庭園」に近いものだった。
曲線に富んだ池には奇岩怪石(きがんかいせき)を用いて近景の山や半島を表し、対岸には洞窟を表現した石組がある。
巨石の間にある窪んだ領域には滝石組を造っている。
滝上部には蓬莱山、そして滝石組には薄くて割れそうな平石が舌のように飛び出ており、巨石と繊細さの対比が良い。そして手前の石は水を左右に分ける水分石だろうか。
天を突くような鋭い蓬莱山。蓬莱山とは不老不死の妙薬があるとされる山である。蓬莱山の奥には美しい稜線をもつ大刈込みが控えている。そして蓬莱山の手前には三重塔がある。写真では2重にみえるが、別角度から眺めると三重になっている。
石橋状の洞窟石組。洞窟の奥にみえる地層のような護岸壁や、2段構成になった刈込とその稜線も見逃せない。
この庭園に出会えただけで、知覧まで訪れた甲斐があったと思える。
○ | 立体感と奥行きのあるコンパクトながら見応えある池泉庭園。池泉中央に大きな洞窟石組を組みながらも、違和感を与えていない造形が素晴らしい。 |
× | 特に見当たらない。 |