明治初期に完成した長生館は杉岡温泉を代表する温泉旅館。日本有数のラジウム温泉で飲泉もできる。庭園は旅館創業時代に作庭され、できるかぎり自然を活かした庭園になっている。
「にいがた庭園街道」に紹介されている長生館の庭園。宿泊施設に確認するとフロントで見学申し込みをすることで、10時~15時の間は宿泊者以外でも庭園を見学できるとのこと。まずは喫茶を楽しめるラウンジから池泉庭園を見学。
ラウンジから見える池泉庭園に近づいてみると、滝石組になっていることに気づく。図解してみると、、、
このようになっている。まず左手に三段落としの枯滝石組。右手にも枯滝石組がある2本の枯滝石組となっている。ただ、草や植栽により枯滝石組が目立たなく弱まっているのが勿体ないと感じた。また沢飛石も風合いが良いが、置物がない方が庭園としての品格は上がるだろう。苔付いた見事な石組だけに惜しい。また右手の滝石組上部には遠山を抽象的に表現したと思われる遠山石を配している。
離れ「松濤亭(しょうとうてい)」の前庭へ。こちらは客室前になるため、お客様がいらっしゃるときは遠慮しよう。連泊でなればチェックアウトからチェックインの間であれば、このような苔庭を楽しめる。
やや分かりにくいが、苔庭には蛇行した「流れ」を造っており、長生館の庭園で最も美しいと思う庭園だ。
残暑が厳しく気温30度越えの日に訪れたが、周辺が木々で覆われているため苔焼けせずに良質な状態を保っている。繰り返すが、この浅い流れが実に良い。
数寄屋造りの離れ「五頭緑水庵」には専用庭を設けている。もちろん専用庭には立ち入れないが、「五頭緑水庵」を背景にした巨石も風合いがあって素敵だ。ちなみに離れ「五頭緑水庵」には専用露天風呂とマッサージチェアを設置しており、優雅な体験ができるだろう。
長生館のパワースポットとされる「願い石」。旦飯野神社(あさいいの)の宮司さんより、施設内で最も氣の高い所として言われた石とのこと。ただ、私には「願い石」よりも、その奥にある大小2つの石のほうが気になった。
まるで亀石組や鶴石組にも見える石組。自然そのままの石組ではないと思うが美しい。
長生館は日本健康開発財団のフロフェッサーでもある後藤氏からも名湯を聞いており、全国最高水準のラドン含有量を含む温泉とのこと。次回訪問したときには温泉でゆっくりしてみたいものだ。
○ | 離れ「松濤亭」の前庭が苔と流れと苔付いた石組の風合いが良く見応えがある。 |
× | ラウンジからみえる滝石組周辺の植栽と刈り込みにより、滝石組の魅力が半減しており勿体ないと感じる。 |