延福寺庭園
えんぷくじていえん
延福寺は平安時代末期(1154)に、武士で僧侶の文覚(もんがく)上人によって創建された高野山真言宗の寺院。上人(上人)とは高僧への敬称。庫裏には江戸時代に花泉によって作庭された池泉観賞式庭園が残る。平成20年(2008)には中根庭園研究所によって石組の修復がされている。
京都市内から車で40分程の距離にある亀岡市には、複数の庭園があり庭園好きなら一度は訪問すべきエリアである。延福寺庭園は、浄福寺庭園同様に「京都府暫定登録文化財」に指定された名勝だ。
南北に穿った池泉の奥に築山を作り、築山上部は刈込みによる目隠し。池泉の鯉を守るため防護ネットが気になるが、冬期以外は取り外されている可能性があるだろう。
築山は集団石組となっており、中根庭園研究所によって石組の修復がされていることもあり、美しい姿を魅せてくれる。
集団石組を正面から撮影。
池泉南部には枯滝石組を作っている。落ち葉と周辺の植栽がなければ、もっと美しい枯滝石組だろう。
護岸石組は縦、横、斜めと奔放に組む手法は、桃山時代の石組を思い起こさせる。近しい事例としては、福岡県添田町にある国指定名勝庭園「旧政所坊庭園」が挙げられる。
本堂前には枯山水を設けており、波打った延段が印象的である。
巨石による五石組。
山並みをイメージする見事な石。
手水鉢の右奥にある刈り込みに注目したい。多数の低い刈り込みを設けているのは、ここでしか見られない意匠だ。
○ | 築山斜面に組まれた集団石組が、室町時代を感じさせるような力強い意匠である。 |
× | 池泉に張られた防護ネットが美しさを損なう。 |