旧座主院御本坊庭園とは、英彦山の最上位の役職であった座主(ざす)の住居「座主院」にあった本坊庭園である。安土桃山時代に作庭され、現在は九州大学農学部附属 彦山生物学実験施設となっている。九州大学農学研究院への事前申請により見学可能となる。令和元年に既に国指定名勝庭園である旧亀石坊庭園に加えて、本庭園も追加指定され合計7ヶ所の庭園が「英彦山庭園」という総称で登録された。
国指定名勝庭園の「英彦山庭園」の一連の庭園群のひとつである旧座主院御本坊庭園。九州大学農学研究院への事前申請により見学可能となる。小雨が降るなか傘を差しながら、段差の大きな石段を登っていくのは大変であった。私が訪問したときには、現地にはスタッフは不在であったが、実験施設の裏手に回りこむことで庭園は自由に見学できる。
旧座主院御本坊庭園は主座謁見の間に面した庭園であり、出島には蓬莱石組がみられる。ただ春の嵐により落ち葉で石組が一部隠れてしまっているのが残念だ。
謁見の間があったとされる場所から撮影。護岸石組の保存状態は良く、正面奥に枯滝石組がある。
枯滝石組に近づいて撮影。
蓬莱石組の護岸には板状の巨石が突き出しており、下から岩島で支えている。余り見ない意匠であり、本庭園で最も美しいポイントだと感じる。
蓬莱石組の南側にも集団石組がみられる。添⽥町まちづくり課の令和2年「国指定史跡英彦⼭整備基本計画」によれば、主座院跡も2033年~2036年に架けて整備されるようだ。また彦山生物学実験施設の入口には「施設の公開に向けて検討を進めていますが、現在は諸事情により対応ができておりません。突然の来訪はご遠慮下さい」と記載されていることからも、近い将来に一般公開されるのだろう。
彦山生物学実験施設への見学許可は「九州大学農学部附属彦山生物学実験施設使用願」という申請書に、訪問日時、トイレの使用有無、丈も都内の見学有無、利用目的などを記載する。九州大学農学部に電話で相談すると、研究室より電話があり、メールでwordの申請書を送っていただいた。メールで返送すると翌日にはPDFでの許可された申請書を送っていただいた。なお、トイレと建物内見学の有無を「有り」にすると、週末は見学できない可能性もありそうなので「無」にしておくことをお薦めしたい。
英彦山庭園の案内図。旧主座院へは大きな石段をひたすら登って行く必要があるため、雨天時は細心の注意が必要である、かなり体力が消耗されるためご注意ください。訪問時は雨天で傘を差しながらであったため大変でした。
○ | 豪壮な蓬莱石組と、巨石の突き出た板石の造形が見事である。また春の嵐により写真は落ち葉で覆われているが、植栽などは除去されており整備されているのが分かる。 |
× | 特に見当たらないが、見学にあたっての手続きが一般公開されていないため、見学のハードルがやや高い。 |