城南宮は平安京に都が遷った時に、国の安泰と守護を願って創建。境内には昭和の小堀遠州と称えられた作庭家・中根金作(なかね きんさく)によって作庭された神苑「楽水苑」があり、源氏物語花の庭、平安の庭、室町の庭、桃山の庭、城南離宮の庭の5つで構成される。
足立美術館を作庭したことでも知られる作庭家・中根金作によって作庭された神苑「楽水苑」には、5つの庭園がある。こちらの写真は「平安の庭」と名付けられた池泉庭園で、亀島ともみて取れる中島が作られている。
神苑の受付を行うまず出迎えるのが「源氏物語花の庭」だ。ただ梅の時期がハイライトであり。それ以外の時期は見応えはない。
竹林を経由して神楽殿の横を越えると、平安の庭がお出迎え。平安時代の貴族の邸宅を寝殿造りと呼び、その寝殿から眺める「寝殿造りの庭園」を摸している。ちなみに、現存する寝殿庭園は全国どこにも残っていない。ここでは神楽殿を寝殿として、その南に庭園を造っている。苔庭には遣水(やりみず)が作られ、列を成すかのように水切石を配置し、躍動感ある流れを演出している。水切石:水を左右に分流するための石
池泉には亀島にもみえる中島が作られている。既に紹介済みの2枚目の写真は別角度から撮影したものであり、奥には滝石組を作っている。
池泉庭園の奥には曲水庭園が作られている。曲水庭園とは、平安時代の貴族が杯が自分の目の前までに流れてくるまでに詩歌を作って詠み、盃の酒を飲んで次へ流すという遊ぶ「曲水の宴」を楽しむ庭のことである。その様子は、万葉の森公園 曲水庭園(浜松市)を参考にして欲しい。
続いて室町の庭へ。室町時代は千利休などにより茶道が大成された時代であり、室町の庭にも茶室が作られている。池泉には不老不死の仙人が住むとされる蓬莱山が作られ、築山の頂には三尊石が組まれている。写真の中央の立石が三尊石の中尊石となる。
池泉西部からの眺め。薄くて華奢な石橋が特徴的で、室町時代の庭園の特徴を表している。慈照寺(銀閣寺)の石橋「仙桂橋」は室町時代に作られたものであり、本物と比べてみよう。
続いて桃山の庭。武将達が天下統一を目指した時代であり、豪壮な気風を感じさせる枯山水となっている。また注目したいのが生垣であり、緩やかな曲線を描き躍動を感じる。
蘇鉄(ソテツ)と石組の組み合わせ。
11月25日から12月12日までの期間は「もみじのお茶席」からは、このような枯山水を楽しめる。斜面を活かした苔庭には三尊石風の石組もみられる。
最後は城南離宮の庭。平安時代後期の離宮の景観を枯山水で表現している。苑路は鴨川をあわらし、白砂で離宮の池を表現。
芝庭による出島も作られている
天を突くような立石、伏石など種類の異なる石を絶妙に組んでいる。想像以上に見応えある日本庭園であり、1つめの庭「源氏物語花の庭」の梅が満開の時期に訪れれば、感動はひとしおだろう。
城南宮の案内図(パンフレットより引用)
○ | 「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作によって作庭された複数の時代を摸した庭園を一度に味わえる。 |
× | 平安の庭にある曲水庭園は、苑路からはその様子が眺めにくいのが少々残念であった。 |