顕揚坊庭園
けんようぼうていえん
古来より神の山として信仰された霊山・英彦山(ひこさん)には複数の国指定名勝庭園がある。そのなかで旧顕揚坊庭は、江戸前期に作庭された池泉観賞式庭園と江戸後期の書院が残る。
顕揚坊庭園の見学にはお土産屋に声をかけることで案内頂けるようだが、当日はお土産が閉まっていたため、案内なしで見学させて頂いた。英彦山で見学した5つの国指定名勝庭園のなかでは、もっとも小規模であるが、雪舟庭の旧亀石坊庭園と本庭園は整備が行き届いていた。
目を惹くのが独特の意匠をもつ枯滝石組だ。板石と立石を滝添石として、水落石は高さを抑えた立石を用いている。また、水を左右に分ける水分石は意欲的な岩島になっている。
滝添石と水落石と水分石の形状がよく分かるように、角度を変えて撮影。写真左奥の山形の石は蓬莱石となる。また池泉には板状の岩島を据えているのも珍しい。板状の滝添石も同様であるが、土台となる石が見えてしまっているので、もう少し水が張っているとより美しいだろう。
蓬莱石を撮影。岩肌の風合いが時代を感じさせてくれる。
池泉西部に向かうに従って巨石による護岸石組が目立っていく。
英彦山庭園で唯一書院が残る庭園であり、池泉観賞式庭園を感じさせてくれる。
旧亀石坊庭園より平地2分、石段3分。事前申請の必要な旧座主院以外を巡るのであれば、スロープカーで登ってから下りながら見学していくコースもお薦めしたい。 [ 案内図を拡大する ]
○ | 江戸前期の庭園ながらも、室町から安土桃山時代の力強さを感じさせる。これは旧亀石坊庭園など見本となる庭園が多数存在したためだろう。 |
× | 特に見当たらない。 |