高台寺は臨済宗建仁寺派の寺院であり、創建は江戸初期(1606年)。豊臣秀吉の正室(本妻)である「ねね」の愛称で知られる北政所(きたのまんどころ)が、秀吉の冥福を祈るため建立。つまり開基が「ねね」となる。庭園は茶人としても知られる庭園デザイナー・小堀遠州によるもの。開基:資金提供者
豊臣秀吉とねねの寺というキャッチフレーズのついた高台寺。明治に移築された茶室「遺芳庵(いほうあん)」を眺めながら、方丈(ほうじょう)へ向かう。方丈:住職の居所
方丈南庭は「波心庭」と呼ばれる枯山水。高台寺の波心庭はイベント毎にあしらいが変わり、和傘が並べられたり、このように色が塗られていたりとかなりアグレッシブ。ちなみに、江戸初期の方丈南庭では、白砂敷きで中央に勅使門(ちょくしもん)、その両側、もしくは片側に枯滝石組などが組まれるデザインが多い。
「波心庭」の右手方向。写真左側が勅使門(ちょくしもん)で、天皇の意思を直接に伝えるために派遣される使いが通る門のことである。苔庭には石組があり、望遠レンズで撮影すると、、、
三尊石になっている。ちなみに「波心庭」は建仁寺の「潮音庭」などを手掛けた作庭家の北山 安夫 によって修復されている。
左手の苔庭は右側は5石、左側は7石で組まれている。日本庭園では、2石だけは例外として縁起の良い奇数で組まれることが基本である。
5石で組まれているところを望遠レンズで撮影。この5石は「茶の湯的 ・ 建築 庭園 町並み観賞録」によると枯滝石組と解説しており、おそらく中央の一番大きい居立石が滝に見立てた滝石だろうか。その手前には大海に見立てた白砂に2石で島が作られている。
方丈を出て、開山堂の西側には長いひょうたん型の偃月池(えんげつち)を望む。中島は亀島になっており、右端が亀頭石である。また手前の出島が鶴出島とされ、立石は鶴首石となるようだ。江戸初期らしく、まだ桃山時代の力強さが残る護岸石組となっている。
開山堂から、亀頭石を眺めると確かに亀の頭のようにみえる。
観月台の手前には、羽石とされる青石による立石を据えている。
開山堂から臥龍池(がりゅういけ)に架かる臥龍廊。
伏見城から移築されたとされる傘亭は重要文化財。下からから葺屋根を覗き込むと、まるで傘を開いたようにみえることから傘亭と名付けられた。
最後に抹茶を頂けるスペースでもある雲居庵。苑路との間には風流な枯流れが作られており、最後の見どころといえる。
高台寺の案内図。散策路を加筆しています。 [ 案内図を拡大する ]
○ | 波心庭の両サイドにある苔庭の石組に力強さを感じられる。また、高台寺境内にある圓徳院の枯山水は見事であるため、共通割引拝観券がお薦め。 |
× | アートされた波心庭も新しい試みで良いが、やはり通常期の枯山水も見たい。公式サイトで状況が分かるようにして欲しい。 |