真言宗小室派大本山である金剛寺は、奈良時代の僧侶・行基(ぎょうき)によって開山。庭園は室町時代に作庭され、桃山時代と江戸時代に改修された「草行山水自然形の庭園」とされる。日本遺産「中世に出逢えるまち 〜千年にわたり護られてきた中世文化遺産の宝庫〜」のひとつでもある。
日本遺産に登録された金剛寺。庭園は3ヶ所あり、写真の客殿前庭園、茶室にある庭園、奥殿にある庭園となる。室町時代の面影が残る江戸時代の庭園となる。
杉苔庭には、比較的角張った石により亀島が作られている、左の石が亀頭石と思われる。これほど苔豊かな苔庭と亀島の共演は希少で美しい。
こちらの五葉松が鶴島となる。亀島と異なり鶴島は抽象的な表現であることが多く、そのなかでも松を鶴に見立てる庭園は時折みられる。たとえば、京都大原の実光院でもみられる。
茶室横には枯滝石組が作られ、その脇の集団石組により豪壮な様子をみせている。
茶室の外縁から近づいて撮影すると、奥行きのある構造になっており、滝上段の石組が躍動感を与えている。
客殿西側には築山のある池泉庭園。やや雑然と石が組まれ、その間にサツキの刈込みがある。中央にある春日型灯籠は移動させ、刈り込みを減らし石組主体としたほうが美しいと考える。
客殿、大玄関、奥殿を繋ぐ渡り廊下は茅葺き屋根で風流である。渡り廊下途中の休憩所の下部を枯流れが横断する構造になっている。
休憩所から枯流れを撮影。幅広の枯流れには玉石が敷かれ、穏やかな流れを表現している。
そして休憩所の反対側へと枯流れが続く。
奥殿の奥には傾斜を利用した池泉庭園がある。
やや単調な池の形状ではあるが、護岸石組の上にある集団石組により見応えるものにしている。
奥殿の室内から額縁庭園風に撮影。ぐるっと庭園を巡ってきたが、大阪では見応えのある古庭園といえる。特に客殿前庭園は、杉苔が豊かで見た目にも美しい。
金剛寺案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 杉苔の美しい枯山水に亀島、亀島、枯滝石組が配置され、どれもが見応えある。 |
× | 客殿西の庭園がやや雑然としている。 |