旧近衛邸
きゅうこのえてい
平成8年(1996)に西尾城の一部を復元した本丸丑寅櫓(うしとらやぐら)と二の丸丑寅櫓のある西尾市歴史公園。この公園に藤原摂関家筆頭として左大臣を務めた近衛家の邸宅で江戸末期に建築された。かつては京都で保存されていたが、昭和60年に取り壊しになることが決まるが、平成7年に本地に解体移送して再整備された。
かつて京都の公家であった近衛家の邸宅が、平成になって現在地に移築保存されたのが旧近衛邸である。
建物は江戸後期に建築したものを移築・修復しているが、庭園は移築後に新規に作庭されたものである。河川をイメージした白砂が美しく、高さを揃えた飛石との対比が良い。
この白砂は実は、西尾城の発掘調査で明らかになった二重の堀跡である。江戸中期に作られ実際の深さは2.5mとのこと。
旧近衛邸は貸し切りでなければ内部を自由に見学できる。また有料で呈茶サービスもあり西尾産の抹茶をいただける。
園内には2ヶ所の手水鉢がある。茶室に隣接しているが、役石の配置が異なるため蹲踞(つくばい)ではない。蹲踞の場合は、手水鉢の手前にある前石に立ち、右手に手桶、左手に足元を照らす行灯を置く役石があり、前石の正面に手水鉢があるという構成だ。蹲踞については、新潟県新発田市の清水園の記事を参考にしてほしい。
もうひとつの手水鉢。石灯籠の右手に遠山石らしき石を配置している。
西尾城 本丸丑寅櫓を望む。
五重の石塔と枯山水。
手入れ直後の状態ということもあり美しく、堀跡に白砂を敷き詰め枯山水に仕立てるというアイデアには驚かされる。
○ | 庭園を取り囲むように植栽を植え込み、縁側からの視線には庭園と城だけが眺められるように工夫がされている。 |
× | 特に見当たらない。 |