當麻寺 中之坊「香藕園」
たいまでら なかのぼう「こうぐうえん」
當麻寺(当麻寺)は飛鳥時代(612)に創建。桃山時代には「香藕園」と呼ばれる庭園が造られ、江戸時代前期の大名にして茶人の片桐貞昌(さだまさ)によって改修されたと伝わる。本庭は大和三名園と呼ばれ、昭和9年(1934)に奈良県で初めての文化庁の保存指定を受けた国指定名勝・史跡となる。
心字池には築山をもつ出島が設けられ、池泉の周りには飛石を敷いた池泉回遊式庭園である。
重要文化財の書院にお抹茶席が用意され、旧国宝の書院で抹茶を楽しめるのは中之坊のみ。
築山から出島へと導かれ、右側には滝石組らしきものを確認できる。
近づいて撮影すると、洞窟形の石組で構成された滝石組であり僅かに水が流れていた。築山には蓬莱石とも遠山石ともとれる長方形の立石を据えていている。蓬莱石:不老不死の妙薬があるとされる蓬莱山を表現。遠山石:遠山を抽象的に表現した石。
先ほどの池泉から東側に移動する。石橋で池泉は繋がっており複雑な汀線を魅せてくれる。池泉には苔むした岩島があり、護岸石組も力強さを感じさせるもので、作庭当初の桃山時代の石組が残されていると感じた。
別角度から撮影。
再び心字池に戻り、護岸石組を中心としたローアングルで撮影。奥には東屋があるが、土塀の奥には進めない。
さらに引いて撮影。借景には當麻寺で現存する最古い建造物である東塔は、奈良時代に造られた国宝。違う場所に西塔も残っており、古代の東西両塔が残っているのは全国でこの當麻寺だけとのこと。そう思って眺めると感慨深い。
○ | 限られた空間を活かすため、斜面の手前に内庭と外庭を区切る白く目立つ土塀を低く作ることで奥行き感を演出。借景との組み合わせあって「香藕園(こうぐうえん)」だ。 |
× | 池泉東部の護岸石組に桃山時代の美しさを感じるが、絶対的な観賞場が存在しない。 |