小泉藩二代目藩主の片桐石州によって、江戸初期(1663)に開基した臨済宗大徳寺派の寺院。片桐石州は徳川四代将軍家綱の茶湯指南役となり、大徳寺の茶室を設計したり、仙洞御所の作庭に携わる。大和三名園のひとつとされ、昭和9年(1934)に国指定名勝を受ける。開基:資金提供者
国指定名勝の「慈光院庭園」は、葛城市の當麻寺 中之坊「香藕園(こうぐうえん)」、吉野の「竹林院 群芳園」と並ぶ大和三名園のひとつである。本庭園を作庭した片桐石州は、千利休の流れを汲む桑山宗仙から学んだ茶の湯を学んだ、江戸時代の優れた茶人として知られる。境内がひとつの茶室として造られているのが大きな特徴である。
焼失などから免れ、300年前の江戸時代の光景をそのまま目の当たりにできる貴重な庭園である。ツツジの大刈り込みが特徴的で、石組はあまり見られない。ツツジの刈込みと生垣、そして白砂で構成された枯山水である。
園内を散策できる回遊式枯山水庭園である。
刈込手法は千利休に師事した茶人としても知られる庭園デザイナー・小堀遠州によって作庭された岡山の頼久寺に外見上は似ているが、頼久寺の抽象的な表現に対して、慈光院は奈良諸山連峰を続けるための具象的な表現になっている。
大刈り込みには石段で上がれる。
小さな池泉の中島に社が建てられ石橋で繋がれている。
曲線的な刈込みと対比するように、直線的な刈込みもみられる。
枯山水庭園の北側に回り込むと、七五三石組がみられる。奇数は永続性を示す縁起の良い数字とされ、室町時代以降このような手法がよく使われる。まずは写真手前の三尊石風に組まれた三石の石組。
中程には五石で組まれている。
奥には、中央に立石を据えた七石で組まれている。
中庭の右奥には立派な五葉松がみられる。
本堂前から書院を焦点距離110mmで撮影すると、大刈り込みと直線的な刈込みによるた額縁庭園を撮影できる。
広縁からの枯山水と大刈り込みを眺める。
書院前から茨木城楼門に向かって2本の敷石で繋がれている。遠近感を生み出すために、このようなV字の意匠になっているのだろうか。
○ | 大刈込み主体の庭園は全国的にも少なく、300年前から変わらない建築物からお茶を頂きながら静寂な空間を愉しめる。 |
× | 抹茶とお菓子付きではあるが1,000円と少々高額。庭園見学だけのリーズナブルな価格設定も欲しい。 |