日蓮宗総本山の久遠寺(山号 身延山)は、鎌倉時代(1281年)に日蓮聖人にて開山。公式サイトやパンフレットには触れられていないが、境内には江戸初期とされる池泉庭園がある。
久遠寺は、大本山に池上本門寺(東京都大田区)などもつ日蓮宗総本山である。この久遠寺には案内板などには記載されていないが古庭園がある。受付を経由して水鳴楼のほうへ歩いていくと到着。総本山:宗派の頂点(一般的に総本山>大本山>本山、総本山をもたない宗派もある。)
書院前に山麓を借景にした池泉庭園であり、松を植樹した亀島を配している。「ほあぐら」様のサイトを参考にすると、亀島の左手池泉には岩島、岩島の右上には巨石の立石があり、それぞれ蓬莱島、蓬莱山と推測されるとのこと。なるほど、そのように推測できるのか、大変勉強になります。また、亀島の護岸石組は変化に富んでおり見応えある。
亀島の右手をズームアップして、亀頭石を写真中央にして撮影。全体的に丸みを帯びた石が使われ柔らかな表現であることから、開山した鎌倉時代に造られた庭園ではなく、江戸時代以降のものと推測する。
池泉南東部より山麓を望む。AとBに一連の滝を確認できる。この写真では全体像をお伝えし、詳細は次の写真で紹介していこう。
Aの部分を焦点距離135mmの中望遠で撮影。上部に突き出た水落石を立てて、水が岩肌を伝わらずに離れて落ちる「離れ落ち」と、岩肌につたって落ちる「伝い落ち」の両方を組み合わせた形式でしょうか。
滝上段は樹木によっって確認しずらいが、赤ラインのような形状で滝が造られている。
滝上部を焦点距離300mmの望遠レンズで撮影してみると、三段落ちの滝になっていることがわかる。滝の右手には築山の上部や、背後の遠景によく用いられる遠山石(えんざんせき)がみられる。
左の巨石を羽石とした鶴石組と考えたが、日本庭園史大系では鶴石組は鶴島の奥にあり、鑑賞場からは死角で見えないところにある。
内廊下から庭園を観賞するスタイルであり、庭園内には立ち入ることはできない。
視点場は写真の廊下右手にある旧書院からである。庭園の記載がないため、訪れる人も少なく落ち着いた空間だ。 [ 案内図を拡大する ]
久遠寺の案内図。庭園の場所は矢印で追記し、一般入口から点線のルートで向かう。
○ | 亀島の護岸石組が変化に富んでいて優美である。 |
× | 植栽が成長しており、滝石組など石組の魅力が薄れてしまっている。 |