経王寺は平安時代後期に真言宗の薬王寺として開山。江戸初期(1632)に日蓮宗に改宗して経王寺と改称。経王寺庭園の時期は定かではないが、但馬国出石藩4代藩主・仙石久行の時代(1753~1785)に伽藍が整備され、その頃に庭園が完成したと推測されている。
公式サイトには庭園があることに触れられていないが、経王寺の由縁が記載されたリーフレットには経王寺庭園についての記載がある。非公開庭園であるが、事前の電話予約で見学ができる。
有子山を背景に傾斜を利用した池泉観賞式庭園であり、南北に池泉が延び、奥に見える伽藍は本堂である。池泉には品の良い切石による石橋が架けられ、庫裏書院から飛び石伝いに渡れる。
本堂前の池泉と石組を眺めるが、視点よりも池泉が上段にあるため池泉が視界に入らない。
近づいて撮影すると、このようになっている。少々分かりにくいと思うので次に図解していきます。
図解すると、護岸石組に囲まれた出島があり、右奥には滝石組、そして左奥には連山風の石組がある。それぞれをみていこう。
一方、滝石組上部には三尊石が組まれていると記されているが、こちらは周辺が木々で多い隠れており鑑賞場からは確認できない。近づいて撮影してみるが、パイプで水路が造られ興ざめしてしまう。
続いて出島部を別角度で撮影。出島には2本の自然石による石橋を架けている。
連山風の石組を正面から撮影すると、やや不自然さがあるが、
斜めから観察すると、美しい姿を魅せてくれる。
こちらは土留石のようにも見えるが、優れた意匠であったため目が留まり撮影。
庫裏書院と本堂を繋ぐ傾斜のついた渡り廊下からも庭園を鑑賞できる。
斜面を活かした庭園になっているため、庫裏書院からの眺めは立体的な庭園だ。事前連絡が必要であるため、気軽に訪問はできないが、沢庵和尚の宗鏡寺庭園と合わせて、訪れる価値ある庭園だと思う。
○ | 力強い鯉魚石による龍門瀑は一見の価値あり。 |
× | 滝頂部が木々で隠れており、石組を見えないのが残念である。滝石組周辺の植栽を伐採すると、本来の美しい庭園が蘇ると思われる。 |