明治から大正時代の日本の呼ばれた中野貫一の邸宅庭園。邸宅と庭園は明治37年(1904)に建築され、平成9年(1997)に中野邸美術館として一般公開。平成29年(2017)に「中野邸記念館」に改称。
新潟市では紅葉の名所としても知られる中野邸記念館。紅葉シーズン以外は人もまばらでのんびりとできる空間だ。園内は記念館と四季の山地庭・泉恵園(せんけいえん)があるが泉恵園はモミジ山であり、訪問時は蜘蛛の巣が多く散策を途中で断念。ただ庭園は記念館がメインであるため、本記事では記念館のみ紹介していく。
記念館は主庭となる枯山水と、中庭にある池泉回遊式庭園に分かれている。まずは主庭からみていこう。紅葉シーズンには主庭に向かって張り出したデッキ「紅葉桟橋」があるが、紅葉シーズンだけしか利用できない模様。中央にある巨石は鞍馬石となっており、まるで津軽の大石武学流を思い出すような礼拝石にみえる。大石武学流については青森県弘前市の瑞楽園の記事を参考にして欲しい。
鞍馬石の奥には赤石による二石組。
陰陽石の「陰石」にも見える窪みのある巨石。
急な階段を上がり2階へ。
2階から中庭を見下ろす。こういった緑に包まれた空間は、単色だとメリハリがなく、彩り豊かとなる紅葉シーズンが最も美しいだろう。
1階から中庭を撮影。心字池のような池泉に自然石を架けている。
自然石の石橋は厚みがあるだけではなく、風格のあるものだ。
苔付いた岩島が池泉の風格を高めている。また右手の護岸石組沿いにある岩島も味わい深い。私は主庭よりも中庭のほうが好きだ。
中庭は滝石組がある。赤い山形の石が滝石となり、青色の部分が滝となり、流水するところには水を左右に分ける水分石(紫色で囲んでいる石)を配している。滝石組の周辺が草で覆われており、全体像が見えにくいのだけが残念なところだ。
中野邸記念館は額縁庭園を撮影できるポイントが複数あります。紅葉シーズン以外は、このような人が少なく取り放題ですが、紅葉シーズンはなかなか難しそうですね。
こちらも額縁庭園。
巨石の沓脱石からの飛石は、徐々に小さいに石にすることで奥行き感を強調している。
椅子に座って見学できるスペースも。撮影ポイントが多く、気づいたら333枚も撮影していた。
○ | 主庭と中庭で趣が異なり、石油王の邸宅自体も見応えがあり庭園好きだけでなく、建築好きも満足できる施設である。 |
× | 中庭の滝石組周辺が草で覆われているのが残念。 |