西光寺は鎌倉時代(1275)に創建した浄土宗西山禅林寺派の寺院である。日本庭園研究家・西桂氏によって平成13年(2001)に本堂前と本堂横に2つの庭園が作庭された。また当地は宮本武蔵ゆかりの地とも伝えられており、宮本武蔵は作庭家でもあったことから、境内に庭園が造られた。
本堂前の「五輪之庭」。五輪とは、もちろんオリンピックのことではなく(笑)、仏教での「地・水・火・風・空」と宇宙を意味し、各石組がそれぞれに見立てられている。まず手前の亀島のような石組は「地の石組」とよび、五石を地中深くし「沈思黙考(ちんしもっこう)」をイメージしている。
続いて「水の石組」。敷石で流れを表現している。
こちらは「風の石」。この角度からは、風の要素を感じ取りにくいが、視点を変えて見ると。。。。
このようになっている。眺める角度によって石の表情が大きく変わるのが石組の面白いところでもある。近しい意匠としては、大阪の岸和田城 八陣の庭の「雲陣」がある。
三尊石と丹波の敷石を用いた雲海で、無限に広がる天体を意図した「空の石組」
「空の石組」は中央の阿弥陀如来に見立てた立石に脇石が寄り添うように立てられている。
情熱を表した「火の石組」は、タマリュウ(グリーンの草)から炎の様子をイメージしているのだろう。そのためやや鋭い石を使っている。
書院と本堂の間には水琴窟のある枯山水がある。こちらは檀家さんらしき方に声をかけて見せて頂いた。
水琴窟のある枯山水の先には、渡り廊下を挟んで「九品来迎の庭(くほんらいごうのにわ)」がある。九品来迎とは阿弥陀如来が極楽浄土からの迎えを意味している。渡り廊下を挟んで、現世を表す此岸(しがん)から、極楽浄土の彼岸(ひがん)を表した九品来迎之庭へと繋がるわけである。つまり、先ほどの水琴窟のある枯山水が此岸となる。実に意味深い庭園である。
○ | 石組ひとつひとつに意味合いがあり、とても勉強になる庭園である。 |
× | 特に見当たらないが、意味深い庭園であるだけに境内に解説文があると良いと思った。 |