古庭園を見学できる穴場レストラン「水琴亭さもん」。平成にオープンした店舗であるが、庭園は明治時代に作庭されている。本敷地は隣接する熊野神社 衣笠分社と合わせて、朝廷に仕える医師・福井貞憲(さだのり)の屋敷の跡地である。
北野白梅町から徒歩6分、北野天満宮からは徒歩12分の距離にある屋敷の跡地に建てられた飲食店。お昼のみの営業でミニ懐石などもいただける。その敷地には明治時代に屋敷に作庭された庭園が残されている。
訪問時には池泉には水が張られていなかったが、雨天時には少量だが池泉となる。見どころは護岸石組の力強さだ。長石や巨石をいくつも積み上げた1.5mほどの護岸は豪壮だ。
茶室も設けられ、近くには蹲踞(つくばい)がある。
豪壮な護岸石組。特に茶室付近は様々な色の石を使い色彩豊か。
こちらはやや小振りな石を組み挙げている。池に向かって降りられる平石階段もみられる。
中島には自然石と切石の石橋をV字に架け、橋の四隅に置かれる橋添石は特にみられない。池泉はコンクリートに石を並べたもので、こちらはメンテナンスを容易にするために後世に改修されたものだろう。ただ石を配置するだけではなく。場所によって大きさを変えることで奥行きを生み出している。
切り石橋から撮影。奥には洞窟石組のような意匠がみられる。また池泉は深さを変えている。水の張り具合によって薄く広く水が張られるのではなく、一部が池泉となるようにしているのだろう。こちらはメンテナンス性だけではなく、景観の変化を楽しむ工夫だろう。
自然石の石橋は苔付き、風合いを感じる。
築山付近には洞窟石組のような意匠が見られる。2つの石を寄り添うように組んでおり、徳島市の国指定名勝である阿波国分寺の天生橋を思い出す。
高い場所から眺めると、石橋を境にして池泉に敷かれた石の大きさが異なるのが分かる。
左はガラス張りのテラス席であり、テラスランチをオーダーすると本スペースで庭園を眺めながらランチを頂ける。
こちらは喫茶室での日替わりランチ。喫茶室からも少し庭園は見えるが、庭園自体は飲食すれば自由に見学できる。食べログでもレビューがほぼ無く、穴場化している飲食店であり、紅葉シーズンでも落ち着いて食事できそうだ。
○ | 豪壮で色鮮やかな護岸石組や、洞窟石組など石組にも見応えがある屋敷庭園。飲食店ではあるが京都の穴場庭園といって良いだろう。 |
× | 特に見当たらない。 |