滋賀院門跡は江戸初期(1615)に創建された天台宗の寺院。門跡とは住職が皇室や公家によって受け継がれてきた格式ある寺院である。庭園は徳川家康に仕えた大名でもあり茶人としても知られる小堀遠州である。
撮影禁止とされる滋賀院門跡の庭園であるが、電話で確認すると公な許可はしていないが、現在では宣伝にもなるため禁止もしていないとのこと。一部寺院の庭園はまだ撮影禁止なところがあるが、庭園維持には収益も必要であり、庭園に足を伸ばすきっかけとしてこのような考え方は今の時代にあっていると思う。
さて、本庭園では面白い趣向がなされている。日本庭園では鶴と亀を摸した石組などがみられることが多いが、それが鶴で亀であるかを探してもらおうという遊びである。
ということで、鶴と亀を探すゲーム。亀は分かりやすいが鶴は少し難しいです。いかがでしょうか?この写真に2つが含まれており、次の写真で答え合わせ。
鶴と亀の位置を図解。滝石組を鶴の首に見立てた鶴首石(かくしゅせき)として、両側に鶴の羽に見立ては羽石を据えるという意匠は他ではあまり見られないもので見事だ。そして、築山全体を不老不死の妙薬があるとされる蓬莱山をあわらしている。
亀石は築山から石橋で繋がっており、手前の突き出た石が亀の頭に見立てた亀頭石(きとうせき)となる。そして亀の手脚となる石も確認できる。
別角度から撮影。
鶴石組を正面から撮影。滝石組は暗くて詳細が分かりにくかったため、滝石組が分かるようにに中央部分を明るくする画像処理(レタッチ)を施している。羽石の巨石が豪壮で滋賀県高島市にある旧秀隣寺庭園に似たものがある。
鶴石組を別角度から撮影。やはり羽石が豪壮であり美しい。滝石組の手前には水を左右に分ける水分石と思われる岩島を据えている。また写真右奥には、自然石の組み合わせのみの石積みがみられ、坂本一帯でみられる穴太衆積み(あのうしゅうづみ)だろうか。
左手前の三角の石は舟着石とされる。
小堀遠州の作庭して庭園に向かう途中、ガラス越しに「蹴鞠の庭(けまりのにわ)」を眺められる。ヒムロスギやアカマツなどの植木だけからなる庭園である。写真右側が2階建ての造りであり、二階書院からは琵琶湖を借景といて、眼下に「蹴鞠の庭」を楽しめるとのことであるが、見学ルートになっていない。
○ | 小堀遠州という高名な作庭家による名園ながらも。鶴亀を探してもらうことで、日本庭園に興味をもってもらう取り組みが素晴らしい。 |
× | 特に見当たらない。 |