聖天院 勝楽寺(しょうらくじ)は、奈良時代(751)に創建された真言宗智山派の寺院である。中門の先にある池泉庭園の場所に本堂があったが平成12年に山の上に移築。移築後に江戸時代からあった池泉を広げ、現在の庭園となった。
中門を潜ると広い白砂敷きの空間が現れ、その奥に山並みを活かした池泉庭園がある。
石段を登って斜め上から撮影。中央の庫裏と、左手に見切れている書院からも庭園を眺められるようになっている。
住職に伺うと、伽藍と裏山の間に池泉を設けていることが多いとのこと。これは観賞用という用途もあるが、山から流れてきた水を受け止め、伽藍に流れ込み湿気を発生させないようにするための治水の役割も果たしているとのこと。池泉が治水の役割を果たしているというのは、初めて知り大変勉強になった。
池泉南部に滝石組を設けている。
滝石組で水が流れ落ちるように見立てた石を水落石(みずおちいし)と呼ぶが、聖天院の水落石はまるで流水しているような見事な岩肌だ。庫裏側から眺めないと滝が分からないので、気づかない人が多いだろう。
書院側に回り込んで眺めていると、出島で2つの池泉に分離されているような形状になっていることに気づく。
庫裏前には築山を設け巨石を組み、亀島にも鶴島にもみえる。こちらは明らかに本堂移築後に作庭された平成の石組だろう。
移築した本堂へ登っていくと、高麗川駅方面を眺められる見晴らしの良い境内だった。
本堂移築時に出現した石灰岩の大塊は「雪山」と名付けられている。
石灰岩の大塊出をそのまま残して見学できるのも良い試みだと思う。7月には岩肌にノウゼンカズラのオレンジ色の花が咲き、雪山に咲く花となり美しそうだ。
令和元年に完成した鐘堂と、平成12年に完成した本堂。
○ | 滝石組で使われている水落石の流水しているような岩肌が良い。 |
× | 特に見当たらない。 |