勝定寺は安土桃山時代(1577)に創建された臨済宗妙心寺派の寺院である。江戸初期に荒廃するが、7代目湘南和尚により中興。明治時代になり、13代目の革堂和尚の時に境内が拡張整備され、現在の伽藍と庫裏の原形が整えられた。また現在残されている庭園は13代革堂和尚によって作庭されたものである。
ツツジが美しいことから、地元では「ジジツ寺」と親しまれてきた勝定寺。庭園に恵まれた出雲エリアのなかでは、観光客には知られざる名園であり、庭園好きであれば足を伸ばして欲しい寺院である。勝定寺庭園は池泉庭園と枯山水で構成されているが、まずは池泉庭園から紹介していこう。
池泉庭園の最大の魅力は、なんといっても池泉の豊かな形状にある。それほど大きな敷地ではないにも関わらず、ひと目見ただけでは、池泉の形状がわかない。特に、2つの出島が池泉を美しく演出している。
少し角度を変えて撮影する。右手は中島のようにみえるが、こちらも出島である。出島には切石橋を私、四隅に橋詰石を据えている。
この庭園で最も美しいと感じたのが、出島と出島の間につくられた運河のような水路。護岸石組も単調にならないよう、石をよく選び、丁寧に組まれたのがわかる。
中島のように見えるのは、低めの築山を造り、築山に石組を設けているからだろう。また頂部には蘇鉄を植樹している。護岸沿いに置かれた石灯籠も人工的な要素が少なく周りに溶け込むように馴染んでいる。
庫裏側から眺めると、がらっと光景が変わり、右では中島にしか見えない。
池泉の奥には三尊石のような石組があるが、別角度から眺めると・・・
このように鶴石組のような意匠になっている。いずれの石も美しいもので、作庭家の美的感覚が素晴らしい。
出島に架けられた切石橋に導かれるように石を配置している。
先ほどの石を別角度から撮影。眺める場所によって、刻々と庭園の光景が変わっていく。
こちらは、まるで亀島のような石組と三尊石の組み合わせ。このサイズの亀島に2本の刈込みは、通常は大きすぎて不格好になるがちだが、こちらは三尊石の借景となるような山並みに見えている。
14mm(フルサイズ)の超広角レンズで撮影した2枚をパノラマ結合している、この庭園の池泉は心字池であり、これまでに紹介してきたのは写真の右手半分の領域である。
続いて本堂横から入ったところには枯山水(後庭)がある。白砂敷きに立派な平石を置き、斜面を利用した空間に刈込み、生け垣を設け、さらに枯滝石組まで造っている。
やや分かりにくいが、こちらが枯滝石組である。
○ | 出島により豊かな形状を与えられた池泉により、歩を進める度に光景が変わりゆく見事な池泉回遊式庭園に仕上がっている。また出雲エリアで唯一の池泉回遊式庭園でもある。 |
× | 特に見当たらない。 |