柳川藩主・立花家の別邸「御花」の庭園。作庭は江戸初期(1697)に集景亭と称する園庭を設けたところに始まり、現在では「東庭園」と呼ばれるエリアである。西側の松濤園は、明治37年から40年(1907)にかけて作庭されたものであり、昭和53年(1978)に国指定名勝をうけ、平成23年(2011)には東庭園も登録される。
北原白秋のふるさと水郷柳川。その最大の観光名勝といえば「立花氏庭園 松濤園」だろう。写真奥に西洋館があり、手前が旧立花家、右奥の4階建てが松濤館とよばれる宿泊施設である。
こちらの写真は対月館と呼ばれるレストランの2階テラスからの眺めである。「立花氏庭園」の有料エリアにあり、レストラン利用者でなくとも自由に出入りできるテラスであり松涛園の全貌を確認できる。ちなみに、左にみえる「旧立花家」の大広間からは庭園が見えにくい。
一見単調な池泉庭園にみえるが、望遠レンズ(焦点距離110mmで撮影)で眺めるといくつもの岩島が配置されている。赤色の家形マーカーには、かつて茶亭があったところである。そして青の場所に三尊石組が造られており、茶亭からの観賞と考えられる。出典「名園の見どころ」(著)河原武敏
茶亭があった出島と、三尊石組を焦点距離200mmの望遠撮影。
ひとかたまりのようにみえるが、手前に高さ0.9m、奥に高さ2.3mの立石、そして立石の左に高さ1.15mの石が組まれている。茶亭のあった出島から眺めてみたくなる。(焦点距離250mmで撮影。35mm換算)
出島の先には、日本三景のひとつ「松島」の景を摸した無数の岩島。
岩島群には岬灯籠を配置。もし茶亭があった明治に岬灯籠に明かりが灯っていたら、夕暮れ時には実に風流な光景だっただろうと思う。
池泉東部には杭で護岸を補強した杭列護岸で2つの出島を造っている。現在は芝の出島だが、かつては砂の出島であり鶴島を改造したものとのこと。
西の中島は亀島とされるが、植栽が豊かなため造形を確認しにくい。ここでテラスを離れて大広間前の庭園へ向かう。
亀島の右奥には二石の舟石らしき岩島もみえる。
焦点距離100mmの望遠レンズで圧縮撮影すると、手前に「松島の景」、奥に三尊石組が控え優美な景観である。
大広間の縁側から撮影する。このように大広間からでは、松涛園の魅力を感じとりにくいので、テラスや庭園北西部だけ歩けるようになっているので、場所を変えて観賞することをお薦めしたい。
柳川の川下り。
○ | 庭園東部の岩島群を望遠レンズで眺めると美しい。 |
× | 望遠レンズや双眼鏡がないと、三尊石や「松島の景」などが分かりにくい。庭園を周遊する苑路を設けて開放して欲しい。 |