滝谷寺は室町初期(1375)に創建された真言宗の寺院である。本堂裏手にある庭園は、福井県で初めての国指定名勝庭園があり江戸初期に作庭された。また観音堂前には島根県の足立庭園美術館を作庭したことでも知られる中根金作による「竜泉庭」があり、昭和43年(1968)に作庭された。
早朝から東尋坊を散歩して、東尋坊から車で5分ほどの距離にある国指定名勝庭園へ。本堂から飛石でひときわ大きな礼拝石へと繋がる。
本庭園の見どころは出島だろう。力強く意欲的な護岸石組で囲まれている。
「名園の見どころ(著:河原武敏)」によると、石橋の右側対岸に枯滝石組が設けられている。残念ながら庭園内には立ち石できず、植栽などの死角で確認しにくいため青マーカで目印を付けた。
別角度から出島を撮影すると、石橋の先に石段が続いていく。
植栽が多く庭園全景が分かりにくいが、山腹斜面と山裾で囲まれている。
山腹には2ヶ所に三尊石を据えており、1つめが青色でマーキングしている場所にある。また記事最初に紹介した礼拝石も赤色で印を付けた。礼拝石:庭園のビューポイント
先ほどの三尊石を望遠レンズ(35mm換算で230mm)で撮影。「名園の見どころ(著:河原武敏)」によると、立石の中尊石と脇侍石(きょうじせき)が互いに不等編三角形に組まれ、桃山時代の手法が色濃く残っているとのこと。
聖天堂付近に2つめの三尊石があり、赤色で場所をマーキングした。(三尊石の様子が分かりやすいように、三尊石が明るくなるように写真をレタッチしている。)
このように植栽の多さのゆえに、やや雑然とした印象を受けてしまう。
巨石はいずれも力強い。
国指定名勝庭園に注目が集まり、こちらの石庭が有名な作庭家による庭園であることに気づいている人は少ないだろう。なぜならば、パンフレットにも公式サイトにも記載されていないからだ。
滝谷寺の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 小堀遠州の弟子にあたる庭師・賢庭(けんてい)によって作庭されたと推測される国指定名勝の池泉庭園と、足立美術館を手掛けた中根金作による石庭を一度に見学できる。 |
× | 国指定名勝庭園は植栽が多すぎて、主役となるような石組が見えにくくなっている。 |