世界2,800ヶ所以上の夜景を巡った男が庭園を巡る
世界遺産特別名勝特別史跡

醍醐寺 三宝院庭園

だいごじ さんぽういんていえん
美しさ ★★★
静寂さ ★★
京都府京都市伏見区

醍醐寺 三宝院庭園の由来

醍醐寺は平安前期(874年)に創建され、平安後期(1115年)に醍醐寺の本坊的な存在として三宝院が創建される。三宝院のほぼ全ての建物が重要文化財指定である。庭園は安土桃山時代(1598年)に豊臣秀吉が基本設計を行い、小堀遠州の弟子でもある作庭家・賢庭(けんてい)らによって造園。約30年後の1624年に完成するが、秀吉は設計翌年に亡くなっている。昭和27年(1952)に特別名勝と特別史跡の指定、平成6年(1994)には「古都京都の文化財」として世界遺産にも登録。






  • 三宝院庭園 三段の滝

    特別名勝かつ特別史跡の庭園は全国に8つしかなく、京都では天龍寺鹿苑寺(金閣寺)慈照寺(銀閣寺)、醍醐寺三宝院庭園だけである。こちらの庭園の全てを観賞するには、春と秋に開催される特別公開期間に「三宝院特別拝観(別途500円)」を支払うことで可能となる。

  • 亀島

    見どころは豊富であり、順次説明していきます。こちらは亀島であり、写真左の▲マークが亀の頭となる亀頭石。左の▼マークがしっぽを立たせたような亀尾石を据え、亀島には樹齢600年といわれる五葉松が亀の甲羅のように亀島を覆っている。全体として「静寂」を表現しているとのこと。

  • 鶴島

    亀島の右手には鶴島を配している。松の麓には鶴の羽に見立てた鶴羽石を据えている。分かりやすいように赤色のラインで示している。そして左手に今にも折れそうな華奢な石橋がある。これが鶴の首に見立てた鶴首石(かくしゅせき)となり、全体として「躍動感」を表現しているとのこと。この細く折れそうな石橋を鶴首石と見立てるところが桃山時代の名残を感じさせるところでもあり、南禅寺 金地院庭園の太くずっしりとした鶴首石と真逆の意匠である。

  • 賀茂の三石」

    こちらは、枯山水に作られた「賀茂の三石」である。左の石は加茂川の「流れの早い様子」、中央が「川の淀んだ様子」、右が「川の水が割れて砕け散る様子」であり、石の表面模様を観察すると、そのように見えてくるのだから不思議なものだ。

  • 藤戸石

    三宝院の主石となる「藤戸石」。天下を治める者が所有される石として室町時代から、歴代の権力者によって引き継がれた天下の名石である。藤戸石を引き立てるため、両側に2つの脇侍石は低く伏せた三尊石手法をとっており、賢庭が作庭したといわれる。

  • 特別公開エリアの純浄観(じゅんじょうかん)

    続いて、表書院前で販売している三宝院特別拝観を購入して、特別公開エリアの純浄観(じゅんじょうかん) へ。一段高い場所になるため景観がぐっと広がる。2つの土橋は舟を通せる高さになっており、かつては池泉舟遊式庭園であった。

  • 須弥山石組

    ここから望遠レンズで藤戸石方面を望遠レンズで撮影すると、右手には豊国大明神と須弥山石組を観賞できる。須弥山石組は画面中央の巨石(藤戸石よりは小型)を中心に取り巻く集団石組である。須弥山の詳しい説明は、萬福寺(島根県益田市)を参考にして欲しい。

  • 蓬莱石組

    鶴島の右手の築山は蓬莱石組である。中央の山形の石が蓬莱石であり、こちらも賢庭が作庭している。蓬莱山の詳しい説明は、同じく萬福寺(島根県益田市)を参考にして欲しい。

  • 景の中心となる三段の滝

    土橋と景の中心となる三段の滝を眺める。

  • 奥にも枯山水が作られている

    純浄観からさらに高い場所にある本堂へ。なんと奥にも枯山水が作られている。右手が先ほどの池泉庭園であり、左手が枯山水となっている。

  • 奥宸殿(おくしんでん)

    純浄観の裏手を通り、奥宸殿(おくしんでん)へ。ここで気づくのが純浄観の床下は池となており、舟が通れるようになっている。そして、この奥宸殿の舟着場へとたどり着く。こちらは江戸初期(1640年頃)に作られ、山畔に三段落としの滝石組が作られている。

  • 切石による石橋

    護岸石組もしっかりしており、切石による石橋を架けている。

  • 流れ手水鉢

    純浄観から見下ろすと、左奥には茶室「松月亭」がみえる。その手前には池泉に直接置かれた手水鉢があり、このようなタイプを「流れ手水鉢」と呼ぶ。写真には★マークを付けています。常時公開の表書院の裏庭にも庭園がありますが、紹介しきれないので、実際に訪れて楽しんでみてください。


総評
建物から眺める池泉観賞式庭園としては、日本最高峰の造形である。特に池泉の複雑な入り組み、土橋、滝石組の構図が美しく、角度や高さを変えて複数の視点で観賞できるのが嬉しい。
×三宝院庭園だけのチケットはなく、三宝院・霊宝館・伽藍のセット券のみとなる。春・秋の特別公開期間は拝観料が2倍ほどになり、さらに三宝院特別拝観(500円)が必要となり気軽に訪問しにくい。ただ、その価値は十分にあります。


アクセス
京都府京都市伏見区醍醐東大路町22
東西線「醍醐寺」駅から徒歩10分、京都駅八条口から京都醍醐寺ラインで約30分

駐車場

開園時間
3月1日〜12月第1日曜日 午前9時〜午後4時
12月第1日曜日の翌日〜 2月末日 午前9時〜午後3時

入園料
通常時期 800円
春・秋の特別公開期間1500円 + 三宝院特別拝観500円(こちらのチケットが無くても三宝院は見学できますが、本チケットにより視野が広がり、奥宸殿の庭なども観賞できるようになります。)

公式サイト

地図
正門にピンを立てています。
訪問日 2019-11-29 (金) 更新日 2024-02-27



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よくある質問


いつごろ作庭された庭園ですか。
作庭時期は江戸初期(1624年)です。
雨でも濡れずに楽しめますか。
はい。充分に楽しめます。
抹茶や珈琲などを楽しむところはありますか。
残念ながら、ありません。



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