津軽三味線などを体験できる「津軽ねぷた村」の敷地内にある揚亀園は、明治後期に大石武学流の宗家(師範)のひとり小幡亭樹(おばたていじゅ)によって作庭。
観光施設「津軽ねぷた村」に明治後期に作庭された庭園がある。揚亀園は、見応えある庭園が多い弘前エリアでは、やや単調な庭園だが津軽エリアで独自発展した大石武学流の庭園である。
大石武学流の庭園には一定のパターンがある。右の建築物が茶室「揚亀庵」であり、茶室の沓脱石からの幅広な飛石が打たれ礼拝石へと続く。そして、左右に二神石と蹲踞(つくばい)があるのが定石。他の大石武学流庭園よりも、その定石が分かりにくいので注意深く見ていく必要がある。
まずは二神石。二神石とは、七福神のうち2つの神に見立てた石のことである。
茶室から少し離れた南側には蹲踞(つくばい)がある。一般的に蹲踞(つくばい)は茶室の近くに置かれ身を清めるのであるが、大石武学流では身を清めてから庭園を眺めるという役割。ただ見て分かるように余りにも大きく、とても手が届かない。そう、大石武学流では茶室や書院から人の動きをイメージしながら庭園を眺めるのである。
飛石の先にある礼拝石(らいはいせき)。通常、礼拝石は庭園のビューポイントであるが、大石武学流では供え物を置いて、神仏礼拝するためで乗ってはいけない石である。他の大石武学流では一段高い石になっているが、こちらはまるでこの上に乗って庭園を観て下さいといわんばかりの礼拝石である。黒石市の金平成園(澤成園)と見比べて欲しい。
池泉は入り組んだ複雑な形状であり、護岸石組で囲まれている。
築山には玉石で枯流れを表現しており、池泉へ注ぎ込まれる様子を表現している。
津軽三味線の演奏中に庭園撮影を行い、その後、ねぶたの引き綱などが展示された「弘前ねぷたの館」を見学。
ねぷた祭りは、「星野リゾート 青森屋」でしか見たことがなかったが、こちらはダイナミックな動きはないものの展示が多く見応えある。
○ | 津軽三味線、ねぷた祭りの引き綱などと大石武学流庭園の両方を一度に楽しめる。 |
× | 弘前市の庭園としては、やや単調で見応えに欠ける。 |