養念寺は安土桃山時代(1597)に創建された真宗大谷派の寺院である。烏が池は創建当時より存在する池であり、戦災で荒廃するが、昭和56年(1981)に日本庭園の研究家で造園家である澤田天瑞(てんずい)によって整備された。
参拝者及び庭園や歴史研究の為の見学のみに公開している古庭園。電話で庭園研究者であることを伝えて、見学の予約をさせていただいた。泥土が黒い為、水が黒く見えることから「烏が池」の名前がついたと言われ、黒い池は珍しく江戸時代には多くの文人墨客が訪れたそう。
初見では見どころに気づきにくかったが、お寺の方がご親切に文献を見せてくださったため、その内容を元に紹介していく。
こちらは書院から眺めた様子で、手前がこの世を示す此岸(しがん)、池の奥の築山を悟りの世界、つまりあの世を示す彼岸(ひがん)に見立てられている。池泉は功徳池と呼ばれる大海に見立て、願船で海原を渡る情景を描いている。三尊石は阿弥陀三尊仏、雪見灯籠は普賢菩薩に見立てられている。
功徳池の手前を撮影。舟付石を設け、ここから彼岸への出発を「易行道」とされている。
ここで目に付いたのが、護岸石組と並列に打たれた詰杭である。お寺の方に伺うと、詰杭が珍しいと言われているが、その意図については不明とのこと。福島県白河市の国指定名勝「南湖公園」には、池の波が直接土手にぶつかるのを防いでいる例があるが、しっかりとした護岸石組があるため、同じ意図ではないだろう。
護岸石組と並列に打たれた詰杭
此岸側にも詰杭がみられ、池泉外周の半分ほどに詰杭が打たれている。
右手の書院から池泉を眺めれるようになっており、北側にも庭が造られている。
書院から飛石と延段で導かれる苑路を難行道と呼ばれており、先ほどの舟路で容易に菩薩へ向かえるのとは対照的に、自分で勤めて精進して苦しい修行をする道となっている。
難行道の先には亀島を設けている。
そして池泉の築山北側斜面には枯滝石組を設けている。
三段に落とされた美しい枯滝石組である。
最後に書院から額縁庭園を撮影。
養念寺庭園(お寺の方に提供いただいた資料) [ 案内図を拡大する ]
| ○ | 護岸石組と並列に打たれた詰杭が池泉の景観を引き締めている。また雪見灯籠を普賢菩薩に見立てられているのも珍しいものである。 |
| × | 特に見当たらない。 |