漸草庵は平成31年(2019)に開園した数寄屋造り建築。施設名「漸草庵」は、松尾芭蕉「おくのほそ道」を世界に広めた日本文学者ドナルド・キーンが命名。茶室の予約が入っていない時間帯であれば、茶室の露地の見学ができる。
文化会館に見学可否について確認したところ、茶室の予約が入っていない時間帯であれば、喫茶利用がなくとも無料で見学できるとの説明をいただいた。翌日の午前中であれば見学できるとのことだったので、さっそく訪問してみることにした。喫茶室にその旨伝えて、案内のもと見学開始。
草加市制60周年記念に建築された施設で、複数の茶室と露地を設けている。露地には腰掛待合を設けており、茶会でも実際に利用されるとのこと。腰掛待合とは、茶会を主催する主人を待つ場所のことである。
腰掛待合から飛石で蹲踞(つくばい)へ導かれ、ここで手を清め茶室へ入室する。飛石の手前に渦を巻いたような石が気になったが、その意図は分からず。
小間。左の小さな入口が「にじり口」であり、左の大きな入口が「貴人口」となる。歴史ある茶室は「にじり口」だけが多いが、一般用途では、しゃがまずに出入りできる「貴人口」を設けることが大半だ。
内廊下からは国指定名勝「おくのほそ道風景地 草加松原」がみえる。当日は国指定名勝であることに気づかなかったが、近くのアーチ状の太鼓型歩道橋「百代橋」から、草加松原の美しい姿を眺められる。
施設の方に教えて頂いた欄間。草加が旧日光街道の2つめの宿であることから、その場所の竹だけ色を変えているとのこと。
樽茶室「松草庵」。おそらく「松原」「草加」からきている名前だろう。樽形の茶室は、私が知る限りでは京都のしょうざん庭園にある「酒樽茶室」ぐらいである。
普段は閉まっているが、こちらも露地同様に喫茶室の方にお声掛けすると見学できる。
樽茶室「松草庵」の内部を見せていただく。樽の曲線に沿った障子が見事であり、他ではなかなか見られない貴重な体験だった。
○ | 他ではなかなか見られない樽茶室で、かつ内部を見学できる貴重な体験ができる。 |
× | 特に見当たらない。 |