世界2,900ヶ所以上の夜景を巡った男が庭園を巡る
トップ >  庭園特集 >  「伊勢國お庭街道」を全て巡ってきました

「伊勢國お庭街道」を全て巡ってきました

2019年に国交省による地域の庭園を結びつけ、地域全体で庭園を楽しみながら地域活性化を図る取り組み「ガーデンツーリズム」が始まりました。日本庭園に絞ったものでは「にいがた庭園街道(2019年)」や、「雪舟回廊(2020年)」があります。

そして2025年には「伊勢國お庭街道」が登録されました。三重県内の桑名から伊勢の間にある7つの庭園を巡る街道のことで、庭園めぐりを通して、各地の食や歴史や伝統に触れながら、本来のお伊勢参りを体験してもらおうという趣旨で企画された「お庭街道」となっています。これまで1200ヶ所以上の日本庭園を巡り、かつ伊勢國お庭街道に登録された7ヶ所の庭園も全てを訪問してきましたので、その全貌をご紹介します。

1.六華苑(三重県桑名市)

六華苑
六華苑

国指定名勝の六華苑。桑名の実業家・諸戸清六の邸宅として大正2年(1913)に完成。鹿鳴館や旧古河庭園(東京)の洋館も設計したイギリス人のジョサイア・コンドルによって手掛けられた洋館と日本庭園が融合しています。

諸戸氏庭園
諸戸氏庭園

隣接した場所に春と秋のみ特別公開する諸戸氏庭園があり、天橋立見立てた石橋や、日本庭園としての魅力は六華苑を超えるものがあります。そのため六華苑を訪問するのであれば、諸戸氏庭園の特別公開時期がおすすめです。

六華苑

2.横山氏庭園(三重県菰野町)

横山氏庭園(菰野横山邸園)
横山氏庭園(菰野横山邸園)

三重県で唯一となる重森三玲による庭園。蓬莱山形式の主庭には、蓬莱山に向かって旅立つ石として舟石を据えています。

横山氏庭園(菰野横山邸園)
横山氏庭園(菰野横山邸園)

軒下から州浜模様の延べ段が広がり、重森三玲の庭園には多く見られる意匠です。かつてはレストランとなっており、レストラン利用者が見学できた場所ですが、現在ではツアーもしくは特別公開日のみ見学できます。

横山氏庭園(菰野横山邸園)

3.伊奈冨神社庭園(三重県鈴鹿市)

伊奈冨神社庭園

日本最古の「七島式庭園」とされる七島池がある伊奈冨神社。別名「つつじ山」とも呼ばれており、境内には約5000株のムラサキツツジが群生していますので、彩り豊かになる4月上旬~中旬の訪問がおすすめです。

伊奈冨神社庭園

重森完途によれば「伊奈冨神社庭園は、日本庭園の根源的形態を示すものの一つであり、今日、我々が「庭園」と言っている鑑賞・実用のものではない。(中略)。ほぼ直線上に並ぶ神島の配置は、上古庭園としての形態をよく残した遺構である。」と紹介していることからも、庭園マニア向けのスポットといえるだろう。

伊奈冨神社庭園

4.専修寺 雲幽園(三重県津市)

専修寺 雲幽園
専修寺 雲幽園

高田本山「専修寺」といえば、2017年に三重県で初めて国宝に指定された木造建築(本堂など)が有名ですが、南北朝時代以前に作庭されたと伝わる池泉回遊式庭園が残されています。

専修寺 雲幽園
専修寺 雲幽園

江戸初期に建築された安楽庵は、千利休の長男・道安と織田信長の弟・有楽齋の合作から「安楽庵」と名付けられた。露地門を潜ると、その先は内露地となっている。通常非公開で特別公開やツアーや10名以上の団体申し込みで見学できます。

専修寺 雲幽園

5.北畠氏館跡庭園(三重県津市)

北畠氏館跡庭園
北畠氏館跡庭園

国指定名勝の北畠氏館跡庭園。私としては「伊勢國お庭街道」のハイライトというべき名園で、特に写真の須弥山石と九山八海石は神々しく感動的です。詳しくは北畠氏館跡庭園の記事を参考にしてください。

北畠氏館跡庭園
北畠氏館跡庭園

一乗谷朝倉氏庭園(福井県)と旧秀隣寺庭園(滋賀県)とあわせて室町時代の日本三大武将庭園といわれており、全体的に力強い石が使われており、豪壮な雰囲気を醸し出しています。最寄りの久居ICより1時間ほどかかる場所にありますが、古庭園好きであれば、これまで1,200ヶ所以上の日本庭園を訪問してきた私が自信をもっておすすめします。

北畠氏館跡庭園

6.旧長谷川治郎兵衛家(三重県松阪市)

旧長谷川治郎兵衛家

江戸時代に江戸で木綿問屋を経営していた長谷川家が、松阪に移り住んで建築した屋敷。2024年に国の重要文化財に指定され、2019年より一般公開されました。

旧長谷川治郎兵衛家
旧長谷川治郎兵衛家

池泉廻遊式庭園だけではなく、屋敷も広く中庭などあり見応えがあります。特に見ておきたいのは、写真の沢飛石で、間隔を空けずに打っており、他に例をみない意匠でしょう。

旧長谷川治郎兵衛家

7.玄甲舎(金森得水 別邸・茶室)

玄甲舎(金森得水 別邸・茶室)
玄甲舎(金森得水 別邸・茶室)

玄甲舎は田丸城の家老であった金森得水の茶室兼別邸です。金森得水は表千家茶道で免許皆伝を受けた茶人でもあり、江戸末期(1847)に数寄屋造りの玄甲舎を建築しました、修復を行い2020年より一般公開されました。

玄甲舎(金森得水 別邸・茶室)

訪問して一番驚いたのは茶室までの通路でした。なんと両側の上下二段の生垣であり、下段がお茶の木、上段がマキ(槙)となっています。管理人のお話では「参宮線がひかれる以前の年代不詳の玄甲舎敷地図に茶畑の記載があり、当時を偲んでお茶の木を生け垣に選んだそうです。」とのこと。

玄甲舎(金森得水 別邸・茶室)

「伊勢國お庭街道」を巡ることは、単に庭園を観るだけでなく、その土地の歴史や武将たちの美意識に触れる、豊かな時間旅行そのものです。庭園好きの方はもちろん、三重の隠れた名所を探している方にもおすすめできます。歴史の息吹を感じに、今度の週末は庭園を巡る旅に出かけてみませんか。

伊勢國お庭街道 公式サイト

公開日: 2026年3月7日
最終更新日: 2026年3月7日