圓明寺は室町時代(1428)に創建されたと伝わる臨済宗妙心寺派の寺院。江戸後期に観音堂と庫裏が再建され、庫裏の裏庭にある滝石組のある庭園は同時期に作庭されたと推測されている。また本堂裏庭の池泉庭園は、明治24年(1891)に作庭。平成21年に兵庫県文化名勝に指定されている。
圓明寺には、本堂と庫裏書院の裏には東西に池泉が広がる。「ひょうごの庭園(著:西桂)」によると事前電話連絡が必要と記載されているので、電話すると「見学時に一声かけてくれれば大丈夫です」とのことで、出入りは自由にできた。
本堂の裏庭は明治時代に作庭された池泉観賞式庭園。急峻な山畔と書院に間に庭園が造られるというのは、もはや定番構成。池泉には三島を仙人が住むとされる蓬莱、方丈、瀛州(えいしゅう)の三仙島のように配している。左の中島は亀島としての意匠が施され、蓬莱島に見立てている
二島は自然石の石橋を架けている。対岸には石の上面である天端(てんぱ)が平らになった2石を据えており、奥にある巨石が座禅石となっている。
二島には2本で橋を架け、岩島は金閣寺(鹿苑寺)の九山八海石のように、石の表面にはいくつものシワがある。
切石による座禅石。
庫裏の裏庭は江戸後期に作庭されたとされる池泉観賞式庭園。雑草により分かりにくいので図解していく。山畔の中程に三尊石で遠山を抽象的に表現した遠山石を配し、ここを頂部として滝石組を造っている。滝石組の左側には山形石の後ろに石を立て、中心石としている。
遠山石(三尊石)からの滝石組。滝石組の草木を除去したくなる。左手に巨石の山形石と中心石。手前に大きな石、遠山石は小さな石を使うことで遠近感を高めている。
遠山石となる三尊石。
中心石を裏から撮影。
書院からの額縁庭園で、三仙島と座禅石を切り取る。
本堂前には近年に作庭された枯山水も造られている。これだけでも見応えある。
○ | 明治時代の庭園は、自然風景主義的が主流となるが、宗教的要素を組み込み込んだコンセプトになっている。 |
× | 江戸後期に作庭された滝石組のある池泉庭園は、雑草により魅力が半減している。 |