花江茶亭 石庭
はなのえちゃてい せきてい
萩城跡指月公園の花江茶亭に隣接した敷地に石庭が造られている。萩市在住の庭園研究家で庭師の廣兼氏によると、主景となる石組が複数あることから、本丸御殿内各所の坪庭にあった石組を廃城後に1箇所に集めたものではないかとのこと。
萩藩の毛利敬親(たかちか)が造った江戸末期の茶室「花江茶亭」の隣接した敷地に石庭があった。まずは巨石による蹲踞(つくばい)。これほど巨大なのは実用ではなく眺めるものであり、大石武学流庭園を思い浮かべるものである。大石武学流庭園については瑞楽園(青森県弘前市)の記事を参考にして欲しい。
L字型の巨石と蘇鉄の組み合わせ。こちらは文献によると萩地方に見られる石組「懸石(かけいし)」と呼ばれる。洞窟石組のように空洞をもった石組で、L字型の石と一石で構成された二石組と、三石で構成された三石組がある。写真は二石組である。洞窟石組は護岸石組の一部となっていることが多いが、懸石は景石として用いられる。これは山口の景勝地である青海島(長門市)の海食洞を模している。海食洞とは荒波による浸食で形成された洞窟のことである。
巨石による三尊石。本石庭では石組に石灯籠が添えてあることが多い。
トンボのような意匠をした石組。
庭園に幾何学的な三角錐の石は希有だ。本庭園の記事作成には萩市文化財保護課に大変お世話になった。この場を借りて御礼申し上げたい。
○ | 萩市特有の石組「懸石」が見られる。 |
× | 萩市特有の懸石がみられる貴重な庭園だけに、園内に解説板の設置が望まれる。 |