伊江殿内庭園
いえどぅんちていえん
琉球王国時代の華族であった伊江氏の邸宅庭園。作庭時代は不明であるが、18世紀末には既に庭園が造られていたものと考えられ、中国から来訪した册封使(さくほうし)をもてなす場所としても使われていた。1986年(昭和61年)に国指定名勝に登録された。
案内版が全く無い国指定名勝庭園の伊江殿内庭園。既に10年以上整備中とのことだが、一般開放される気配はまったくない。フェンス越しにしか観賞できず玄人向けの庭園だ。本庭園は琉球石灰岩の岩盤を彫って造っており、手前は池泉だったとのこと。また本庭園の特徴は石積みアーチ橋で全部で3ヶ所あり、左手からみていく。
左手に2本の石積みアーチ橋があり、表面に凹凸がある石琉球石灰岩を用いている。石琉球石灰岩は中国の庭園で必ずみられる太湖石(たいこせき)と類似しており、中国の影響を色濃く残す日本庭園ともいえる。太湖石については、中国四名園の首位に君臨する拙政園(せっせいえん)の記事を参考にして欲しい。
石積みアーチ橋を望遠レンズで撮影。研究論文では石積みアーチ構造の安定性の低下が懸念されているとのこと。
続いて右手を観察。まずは石積みアーチ橋の上部を撮影。伊江殿内庭園は琉球石灰岩の岩盤を彫って造っているが、文化庁の解説を読まなければ、斜面に沿って石を並べた集団石組と勘違いしてしまう。
こちらの石積みアーチ橋は木で支えられている。なお草で石の様子がよく分からないが、文化庁のサイトでは整備された当初の写真が掲載されているので参考にして欲しい。
○ | 琉球石灰岩の岩盤を削って集団石組のような庭園を作庭した技術力に驚く。 |
× | 整備がなかなか進まず、現地に解説もないため折角の名勝庭園が活かされておずら勿体ない。 |