「明治150年」関連施設の一環として国交省主導で明治記念大磯邸園の整備が進められ、令和2年には旧大隈重信別邸と陸奥宗光別邸跡の庭園が開園。令和3年には松林がオープンし、令和5年に全面開園予定である。陸奥宗光別邸跡は明治29年(1896)に建築されたが現在は日光市に移築。その跡地に古河家の海浜別荘地として昭和5年(1930)に建築されたものが保存されている。庭園の作庭時期は不明であるが、本サイトでは明治に分類する。
陸奥宗光別邸跡に昭和初期に建てられた旧古河別邸。まだ室内は令和5年頃まで見学できない。
海に向かって傾斜した敷地に、ツツジが植栽された回遊式庭園となっている。日本庭園としての見どころは枯滝石組。
枯滝⽯組は小田原の根府川⽯と⿊ボク⽯で構成された特徴的な意匠となっている。真っ平らな切石で水落石(みずおちいし)で構成しているのは良いが、滝添石にも同様に石を使っているのは、やや不自然さがある。ちなみに、根府川⽯を多様した庭園としては、東京の旧芝離宮恩賜庭園でも見られる。水落石:水が落ちる面の石
滝石組から続く枯流れに沢飛石が交差する。この沢飛石と雪見灯篭の間にある椅子のような石(ツツジの手前)は、大観腰掛岩と呼ばれる。この岩に腰掛けて、陸奥宗光から引き続いた古河邸の床の間に横山大観が描いた掛軸の滝を描いたとされる。
枯流れの下流。むき出しになっている土が芝庭などになると、枯流れの存在が引き立ち魅力的になるだろう。
旧古河別邸。
明治30年(1897)に購入したのち改修した旧大隈重信別邸・旧古河別邸と芝庭。大隈重信とは、第8、17代の内閣総理大臣である。
バラ園があり、ここで育てられたバラが東京の旧古河庭園に移植されたとのこと。
明治記念大磯邸園の案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | やや無骨であるが、独特の意匠をもつ枯滝⽯組は一見の価値あり。また邸宅、芝庭、回遊庭園と園内を散策するだけでも気持ちよい空間である。 |
× | 古庭園としての要素は少ない。 |