明治から昭和初期にかけての哲学者であった伊藤証信(しょうしん)が開いた研修道場「無我苑」の跡地などを碧南市に寄付。京都工芸繊維大学名誉教授の中村昌生氏によって二重露地などが設計され、平成4年(1992)に哲学たいけん村 無我苑として一般公開された。
碧南市に哲学をテーマにした芝庭の美しい施設がある。敷地は道路を挟んで東西で分かれるが、本記事では日本庭園が見られる西側を紹介。
無我苑で最大の見どころは二重露地。露地とは茶室に付属した茶庭であり、内露地と外露地に分かれている場所は多いが、こちらは露地囲いのある二重露地で珍しいもの。
露地囲いは、利休亡き後、天下一と称された武将茶人・古田織部の弟子となる上田宗箇(そうこ)によって試みたとされる。写真は外露地となる。
外露地を撮影。茶会に招かれた客は、まず外露地の腰掛け待合で主人を待ちます。これから始まる茶会に挑むための大切な心の準備を整える空間である。
外露地から内露地へ続く露地門。奥は普通に出入りできる露地門であるが、手前は茶室にある「にじり口」のように沓脱石が置かれた「中潜り」である。
内露地から撮影。にじり口のような中潜りの先には内露地の腰掛待合がある。内露地の腰掛待合は、茶事の後半の準備が整うのを待つ場所となる。
茶室「涛々庵(とうとうあん)」は、有料で利用できる。茶室を取り囲むように敷かれた砂利は、軒先からの流水を受け止めるものだ。
流れ手水鉢を逆方向から撮影。流れを横断する沢飛石は歩く面の高さを一定になるように石を置いている。
流れは、涛々庵を取り囲むように蛇行。
流れを上流から撮影。渓谷をイメージしたような造りになっていて、二重露地に続いての見どころだと思う。
研修道場「安吾館」前には蹲踞(つくばい)が置かれている。その奥には先ほどの流れがみえ、石橋が架けられているのが分かる。
立礼席で芝庭を眺めながら、抹茶と御菓子を気軽に頂ける。
○ | 全国的にも希有な露地囲いされた二重露地を見学できる。芝庭を蛇行する流れも美しく、渓谷風の上流も見逃せない。 |
× | 特に見当たらない。 |