當麻寺(当麻寺)は飛鳥時代(612)に創建。當麻寺の塔頭寺院である西南院は682年に創建され、庭園は江戸初期に作庭されたと伝わる。
国宝の西塔を借景にした西南院庭園。園内には「みはらし台」があり、そちらからは東西両塔を確認できる。ちなみに本写真にも東塔の先端だけが映っていることが分かるだろうか(笑)
本庭園の魅力のひとつが、池泉に映り込む西塔。すっぽりと映り込む様子は、計算されての池泉形状と考えるべきだろう。
西南院庭園の苑路は庭園を見下ろせるようなルートになっている。池泉は護岸石組で囲まれ、手前には六角石灯篭が鎮座する。観賞場である書院から離れた場所であるため、大きめの灯籠としたのだろう。
苑路の頂部から庭園を見下ろすと、池泉の形状が分かりやすい。築山から出島が伸びているのは、當麻寺 中之坊「香藕園」のスケールを大きくしたような感じだ。
庭園東部を眺めると池泉には切石による石橋を架けている。そして、パンフレットによると鶴亀庭園になっていると解説してある。次の写真で解説すると、
出島が亀島であり、石橋で繋がった対岸の石灯籠付近の石組あたりが鶴島とされる。これは説明がないと私には理解できなかった。
その理解をしたうえで、亀島を別角度から眺めると亀島にも見えてくるのが不思議なものだ。そして亀島を取り囲む護岸石組は江戸初期のものが残っているのだろうか、ある程度の力強さが残っている。
西南院ではお茶席があり、お茶席を利用しないと庭園を正面から見学できないため必ず利用したい。
これが正面からみた鶴亀庭園である。鶴島とされる石灯籠の左には巨石があり、これを中心とした石組で抽象的に鶴を摸したのだろうか。すると巨石は鶴の羽に見立てた羽石となる。そして亀島は右に据えた岩島が亀頭石にもみえ、右を向いた亀とも想像できる。
出島の麓には滝石組がある。植栽に覆われ確認しにくいが青色マーカーのところである。また注目したいのが、滝石組の右の石積みだ。3段に摘まれた苔むした石積みは高さが揃えられ美しい。このような美しい石積みであるだけに、刈込みを最小限にして石積みと滝石組を主役としたほうが美しい庭園になると思う。
鶴島と亀島を結ぶ石橋。
○ | お茶席から眺める鶴亀庭園に加えて、庭園よりも高い場所を周遊する苑路により庭園全体図を見渡せるのが良い。 |
× | 植栽が多く、滝石組や石積みの美しさを隠してしまっているところがある。 |