當麻寺 奥院
たいまでら おくのいん
當麻寺(当麻寺)は飛鳥時代(612)に創建。塔頭寺院で最大規模なのが奥院であり、室町時代(1370)に作られた。奥院には2つの庭園があり、昭和後期に「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作(なかね きんさく)によって作庭された二河白道の庭(にがびゃくどう)と、平成5年頃に作庭された浄土庭園がある。
當麻寺(当麻寺)奥院には2つの庭園があり、まずは二上山を借景とした恵まれた敷地に作庭された浄土庭園をご紹介。
現世を石組と渓流で表現し、現世からスロープになった苑路を進むと、来世となる阿弥陀仏浄土の世界が広がる。
手前の現世である此岸(しがん)と、来世の彼岸(ひがん)を結ぶ舟を表現している舟石がある。このような構図は、江戸時代に作庭された京都の蓮華寺でもみられる。
来世の世界をイメージした彼岸を望む。奥には巨石による滝石組がある。
楼門近くにも石垣の地形を活かした石組がある。
二河白道の庭は、襖絵「花鳥浄土」特別公開時以外は、この花頭窓(かとうまど)からのみ観賞できる。本記事は、花頭窓から撮影した写真となります。
二河白道とは浄土教における極楽往生を願う信心で、鎌倉時代の作品「絹本著色二河白道図(国宝)」をイメージ。右が炎に包まれた様子で、赤砂が敷かれた枯山水である。赤砂が敷かれた枯山水では、重森三玲による京都・東福寺の龍吟庵でみられる。
足立美術館の庭園を手掛けた中根金作によって作庭された二河白道の庭は、白砂と苔庭が融合した美しいものである。
そして左手を眺めると、苔庭で濁流の様子を見立て、その間の白砂が向こう岸にたどり着ける道と見立てていると思われる。浄土教における極楽往生をイメージした二河白道の庭があり、その繋がりで浄土庭園が造られたのだろう。
○ | 「二河白道の庭」の枯山水は赤砂と苔庭の組み合わせが美しい。 |
× | 浄土庭園は雄大であるが、やや大振りな造形である。 |