正伝永源院
しょうでんえいげんいん
正伝永源院は臨済宗建仁寺派の寺院であり鎌倉時代に創設。元は鎌倉時代に創建された正伝院と永源庵のニケ寺であり、明治6年に廃寺となった永源庵に、近くに位置していた正伝院が移転して現在に至る。寺院に確認すると、現在の池泉庭園は明治初期頃であり、当時は枯池だったとのこと。池泉庭園になったのは平成初期(1990年前後)頃とのこと。
春と秋の庭園特別公開のみ拝観できる寺院。まずは本堂から額縁庭園で心を静める。
本堂に平行して流れを造った池泉庭園であり、お寺の方の話では平成に作庭されたとのこと。
護岸石組は比較的大きめの石を配置して、自然石のようにみえる石橋を架けている。本池泉庭園で一番美しいと感じた眺めがこちらである。
池泉西部を望む。
奥にある茶室「如庵」は、実は日本庭園以上に興味深いものである。
江戸時代(1618年)に正伝院が再興された時に造られた茶室「如庵」は、明治に三井家本邸(東京)、1972年に名鉄犬山ホテル敷地内に移築され、なんと「国宝三茶室」となっている。こちらの「如庵」は、当時の茶室を平成8年(1996)に再現したものである。「国宝三茶室」の他の2ヶ所は、京都府大山崎町の待庵(たいあん)、京都市大徳寺の密庵(みったん)であり、待庵を摸した茶室は爽籟軒庭園(尾道市)にある。
露地を撮影。露地門から飛び石で茶室へと繋がる。
蹲居(つくばい)の手水鉢は背の低い石となっており、あまり見たことがないタイプである。手水鉢とは隣接する茶室へ向かう際など、身を清めるための手水鉢であり、夜の茶会で使う明かりを置く石、湯桶を置く石などを含めて蹲踞と呼ぶ。詳しくは清水園(新潟県新発田市)の記事を参考にして欲しい。
最後にもう一度、額縁庭園を眺めて正伝永源院をあとにする。
○ | 東山エリアの京都でも賑わいのあるエリアにありながら、落ち着いて観賞できる。また外観だけであるが、国宝三茶室の写しを見ることができる。 |
× | 美しく整備されているが、京都の日本庭園としてはやや見応えに掛ける。 |