修善院は室町時代(1414)に創建された臨済宗佛通寺派の寺院。修善院には、よく走る神として知られる韋駄天(いだてん)が祀られている。住職の神田敬州氏は駅伝が強いことで知られる世羅高校のOBで陸上競技部のOB・OG会のコーチも務める。境内の庭園は神田住職によって平成28年(2016)から作庭開始。
facebookの日本庭園グループにご参加されている神田敬州氏が住職を務める修善院を訪問。事前に連絡を行い、早朝から住職に案内頂いた。写真の枯山水は「随心庭(ずいしんてい)」と名付けられ、雑木林化していた築山を平成28年から住職自ら造園。
随心とは「心にしたがうこと」。つまり心を解き放つ意味を込めた枯山水になっている。随心庭は7・5・3の七五三石組で組まれ、限られた方角(庭の北東)を除き、龍安寺と同様、全15石中、14石しか見えない仕掛けの石の配置になっている。特別名勝「龍安寺 石庭(京都)」と似たような仕掛けで興味深い。まずは全体像を把握できる各石に数字を打った。写真を撮影した場所からは五石組の3と4の石が1石にしか見えない。
まずは三石組の苔島を観察。天端が平らな低い石を用いているのは意味がある。苔の手入れ時に、石の上で作業ができるようにした景観と実用を兼ね備えたものだ。
五石組を別角度から眺めると3石になっているのが分かる。このような死角を活かした石組が龍安寺 石庭のようで面白い。
七石組の4~7と、五石組の岩島である1の石。
七石組の1~4を眺める。中央の3の石は舟石だ。
舟石は京都の名園「蓮華寺」の舟石に類似している。
随心庭は瀬戸の多島をイメージしており、改めて石庭を眺めていると瀬戸内海のように見えてくるから不思議なものだ。
つづいて臥雲庭(がうんてい)を眺める。こちらも瀬戸内の島をイメージしたかのような苔島だ。
視点場によって苔島の形状が変わってみえる。このような視点による景観の変化を楽しむのも日本庭園の楽しみ方のひとつである。
庫裏前にも苔島。
韋駄天像が祀られた刈り込み主体の澄霊庭。
本堂内には高橋尚子や有森裕子など一流アスリートのランニングシューズが奉納されている。常時公開されているものではないため、見学時は事前に電話相談しておこう。
早朝訪問時は大きなブロアーを背負って枯山水を手入れしていた神田住職。寺院庭園で作庭の思いを伺えることは少なく、このような機会は大変貴重だった。少しづつ石の配置などを替えて改良しているとのこと。数年後に再訪して変化を楽しみたいと思った。
○ | 瀬戸の多島をイメージした枯山水は、目線を落として眺めることで、本当に瀬戸内海にいるように感じる。こうような感覚は金閣寺の鏡湖池で受けて以来だ。 |
× | 特に見当たらない。 |