英彦山には英彦山大権現を祀っており、その英彦山権現信仰発祥の地に昭和54年(1979)に作られた庭園。英彦山大権現社を創始した大場聖の他界後に、息子の大場豊が庭作りに夢中となり、北山安夫の力を借りて現在の庭園となる。北山安夫は京都の建仁寺 潮音庭(ちょうおんてい)などを手掛けた作庭家。
英彦山のスロープカー花駅から車で10分ほどの場所にある庭園。昭和に作庭された庭園で、春の嵐後直後の訪問にもかかわらず、美しい姿を保っており整備状況に驚きを隠せない。山には波を描いた大刈り込みが施されている。
山畔を活かして枯滝石組を設けている。枯滝石組としては特徴はないが、上段の大刈り込み、下段の苔野筋が緩やかに起伏をいくつも設けており、質感の高い枯滝石組であることが分かる。
石橋は厚みのある自然石を2つ並べ、4ヶ所に滝添石を置くことで、石橋に安定感を生み出している。こちらで使われている石は全て同じ風合いのものであり、英彦山周辺から採掘された石だろうか。
訪問時は雨天であったが、それでもこの美しさ。紅葉時期はさぞかし絶景だろうと思いながら散策。白砂敷き大海の端には舟石を置いている。
変わった意匠の中島。後述するが亀島と思われる中島があることより、こちらは鶴島だろうか。とすると2つの立石が羽石となり、横長の伏石が鶴首石と推測できる。そして、この鶴島の面白いのは角度を変えて眺めると、、、
まるで様子を変え、いまにも飛び立ちそうな姿に見えるのだ。
こちらにも巨石による石橋を架けている。その奥には亀島と推測される中島がある。
亀島とみられる中島。写真では分かりにくいが亀脚石と亀頭石がみえる。
亀島の進む先には大きめの石による洲浜を作っている。石はグリーンにみえるのは苔で覆われているためだ。
先ほどの枯山水とは少し離れた場所にある枯山水。まばらに石を配置しているようにみえるが、
視点を定めるとこのように九山八海を思わせるような石組にもみえる。九山八海については、三重県津市にある国指定名勝庭園「北畠氏館跡庭園」の記事を参考にして欲しい。3枚目の写真と似ていると思う。
また別の視点場から、こちらも九山八海にみえる。
庭園入口には滝石組をもつ池泉庭園もある。雨天で時間も無かったため、全体を見学できなかったが、公式サイトを確認すると他にも庭園があるようだ。英彦山庭園と合わせて、紅葉シーズンに改めて訪問したいと思った。
英彦山大権現案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 手入れの行き届いた庭園であり、特に大刈り込みをバックにした枯滝石組の構図が美しい。 |
× | 特に見当たらない。 |