恵日寺は室町時代(1375)に創建された曹洞宗の寺院である。本尊の観音像は、羽衣伝説、浦島伝説と並ぶ日本三大悲恋伝説である松浦佐用姫伝説の佐用姫を弔うために安置されたものと伝わる。庭園は豊臣秀吉に仕えた曾呂利 新左衛門(そろり しんざえもん)によって安土桃山時代に作庭されたと伝わる。
古庭園が少ない佐賀県で安土桃山時代の庭園が残る恵日寺。早朝7時から拝観できるとのことだったので8時前に訪問。室内から椅子に座っての観賞もできるが、早朝であったため室内は控えることにした。鏡山を借景にし、山畔を活かした池泉回遊式庭園になっている。
池泉には切石の石橋を架けている。
池泉西部には滝石組を設けているが、樹木により視界を遮っているのが勿体ない。
滝石組に近づいて撮影するとこのようになっている。斜面は断層のようになっており、段差に石を直線的に並べているのが珍しい。自然石を組み合わせた石灯籠は津軽エリアでみられる大石武学流の野夜灯(やどう)に類似している。大石武学流の庭園については、瑞楽園(弘前市)の記事を参考にしてほしい。
滝上部。苔付いた風合いのある石が古庭園であることを感じさせてくれる。
滝上部に登ってみると、上段にも池泉を設けている。つまり上下二段式の池泉庭園になっているのだ。上下二段式の庭園は宗鏡寺(兵庫県豊岡市)などでみられる。
大小の石を組み合わせた力強い流れであり、ここで振り向くと、
このようになっており、なんと巨大な滝石が現れる。
近づいて撮影してみると、その迫力に圧倒される。岩盤を削って滝としたのだろうか。もしくは自然の産物なのだろうか。
室内からの観賞だけだと、上段にあのようなダイナミックな滝石の存在を感じさせない。下段を静の池泉庭園とすると、上段は動の池泉庭園という言葉で表現したいそんな庭園であった。
○ | 手入れの行き届いた上下に男子期の池泉回遊式庭園は、最上部に岩盤による巨大な滝を設けており、奥に進むにつれて庭園に力強さがでてくる。 |
× | 特に見当たらない。 |