遍照院庭園
へんしょういんていえん
遍照院は江戸初期(1656)に創建された真言宗の寺院である。庭園は久留米市のシューズメーカー「(株)ムーンスター(当時は月星ゴム(株))」より昭和35年(1960)に寄贈され、庭園研究家・森薀(もりおさむ)によって作庭されたものである。
久留米市には17の寺社が集まった寺町があり、その一角に江戸時代後期の尊皇思想家・高山彦九郎の墓がある遍照院がある。本寺院には、なんと地元のシューズメーカーより寄贈されたという池泉回遊式庭園がある。なんとも変わったルーツの庭園だ。
丸石を敷いた中島に巨石を立てた独特な意匠の中島。本庭園で最も美しいと感じたポイントである。
2ヶ所ある中島のメインとなる中島には石橋が欠けられ、この石橋は同寺に眠る高山彦九郎にゆかりのある京都にある三条大橋をイメージしたものである。中島には、柱の部分を埋め込んだ埋け込み灯籠を設置され、なんとも可愛らしい。
中島からつづく洲浜は、岬を表現したような造形である。洲浜:水際を美しく魅せる技法
伏石と横石による三尊石。
L時形の石を中心に4石を配置した石組。左の石を亀頭石、L字型の石を亀甲石とした亀石組にも見えなくはない。
京都から移築した茶室「以白庵」があり、飛び石が張り巡らされている。
自然石と切石がミックスした「行」の延段。延段については、長野県の笹離宮の記事を参考にしてほしい。
○ | 心字池にある中島の意匠が独特で面白い。 |
× | 広さの割りには見どころが少なく、間延びした感じがする。 |