江戸時代前期の公卿(くぎょう:国政の最高幹部)一条昭良(あきよし)が、一条家別邸の離れとして京都西賀茂に1646年頃建立。昭良は、のちに仏門に入り法名が恵観となる。1964年重要文化財には指定され、京都「桂離宮」に並び、当時の朝廷文化を今に伝える貴重な建築物となる。昭和34年(1959)に鎌倉の地に移築し、石や枯山水も建物も当時と同じように配置。2017年7月29日には一般公開。(朝廷:天皇を頂点として貴族による政治体制)
浄妙寺の拝観帰りに、道端で一条恵観山荘のパンフレットを頂く。素敵なカフェがある庭園の写真に魅了され立ち寄ってみる。受付を済ませ、足を進めると、すだれの隙間から紅葉を眺める・・・
砂利敷きの庭園に美しき紅葉。正直驚いた。鎌倉にこのような静寂さのある空間に気分が高揚。
写真の中央手前には木蓋が載せられた手水鉢(ちょうずばち)があり、手水鉢に向かって飛石が伸びる。手水鉢の両側には、手燭石(夜の茶会で使う手燭(てしょく)という明かりを置く石)、湯桶石(茶室で使う湯桶を置く石)、そして両手が空いた状態で手水鉢の正面にある石に本人が立ち手を清める。この4石をまとめて蹲居(つくばい)と呼ぶ。詳しくは新潟の国指定名勝「清水園」の記事を参照して欲しい。
庭園は至る所に石が使われている。江戸時代前期の武将にして茶人であった金森重近(しげちか)好みの枯山水に造園されたとのこと。
江月庵を望む。
紅葉の小径へ進む。階段を下っていくと・・・
なんと、小川がでてくる。これは滑川と呼ばれるかまくら岩の上をなめるように流れるのが由来だそう。それにしても、静かで心落ち着く空間だ。
ここまでの写真でお気づきだろうか。秋の鎌倉にして、800坪というそれほど広くない庭園で人影のないことを。そう、訪問時は拝観者が誰もいませんでした。それもそのはず、一般公開してまだ2ヶ月ちょっと。雑誌やネットでほぼ紹介されていないため穴場感たっぷり。
紅葉の小径で休憩する妻。あと2~3年で穴場感はなくなるのだろうか。。。
新緑と白砂利の組み合わせが美しい。
かふぇ楊梅亭(やまももてい)。鎌倉の銘店「パティスリー雪乃下」監修のスイーツを楽しめる。ただラストオーダーが15時で夕方に訪れたため間に合わず。参考価格:珈琲500円、チーズケーキ600円
かふぇ楊梅亭を外から眺めてみるとこんな感じ。優れた空間から、新緑を眺めがら休憩できることが分かる。次回は行きたい!
四阿(あずまや)。手前には手水鉢も。
帰る前に紅葉が美しい庭を見納め。ここは鎌倉イチオシの日本庭園だろう。
○ | 2017年7月に一般公開となったことより、訪問者が少なく穴場感たっぷり。基本的には露地(茶庭)であるが、枯山水もあり、小川もあり、コンパクトながら見応え充分。 |
× | 特に見あたらない。 |