帰真園は平成25年(2013)に二子玉川公園に作られた池泉回遊式庭園である。多摩川本来の自然に回帰するという意味で「帰真園」と名付けられている。また明治期の近代和風建築である旧清水家住宅書院も、園内に移築保存されている。
二子玉川駅より徒歩9分の立地にある池泉回遊式庭園。ツタヤ家電やレストランが建ち並ぶ絵里を通りながらなので、あっというまに到着という距離感です。また、公園専用の割安なパーキングもあり車でも手軽に訪問できます。まずは世田谷区登録有形文化財の旧清水家住宅書院から二子玉川ライズ タワー&レジデンスを望む光景。こちらの低層階には楽天本社も入居していますね。
東屋「時雨亭」付近から多摩川に見立てた池泉越しに旧清水家住宅書院を望む。池泉には水空間に打たれた飛石である「沢飛石」を配しているが通行はできない。また旧清水家住宅書院は、日曜日・祝日・第2月曜日のみ開放されている。
芝生と池泉の境目には大きめの丸石を敷いている。これは水際を美しく魅せる洲浜(すはま)と呼ばれる技法で、池泉庭園でよくみられる。洲浜の最高傑作といえば宮内庁管轄の仙洞御所(京都)だろう。洲浜に敷かれた11万1千個ほどの丸石の大きさが揃っているのが見事であり、写真を見比べて欲しい。
中島「鼓洲(つづみのしま)」から洲浜で鋭い岬を造っており、本庭園でもっとも目を惹いた意匠だ。
奥多摩にある鳩ノ巣渓谷の急流を摸した滝石組「鳩ノ巣」。青石をふんだんに利用している。
滝石組を別角度から撮影。白糸のような水流を表現するために手持ちでスローシャッターで撮影。感度はISO64まで下げて、シャッター速度は1/10秒としている。撮影機材:Nikon D810
滝石組の上部から帰真園北部を望む。奥多摩の鳩ノ巣渓谷に見立てた滝石組から大きく蛇行しながら、相生橋を潜り多摩川に見立てた池泉へと流れ込む。つまり、帰真園では奥多摩から多摩川へつづく様子を見立てている。
流れには平石が並んでいる。「沢飛石による庭園の空間構成に関する研究(東京農業大学)」を参考に考察すると、沢飛石の一種である水の中を歩く「渓谷伝い渡り」の形式とも推測できる。
あまり気に掛ける人はいないが、水流が緩やかに落ちていく姿も美しい。訪問時は晴天に恵まれた週末ということもあり、多くの子連れで賑わっていた。また庭園のほぼ全域がバリアフリーのため、ベビカーでの来園も多く見られる。
帰真園の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 奥多摩から多摩川への様子を見立てた様子が面白く、特に中島「鼓洲(つづみのしま)」の鋭い洲浜の意匠が良い。またバリアフリーでベビカーや車椅子でも巡れる配慮が素晴らしい。 |
× | 日本庭園としては、深い趣を感じさえるポイントがなく、やや荒削りな造りである。 |