根津美術館は東武財閥創設者である初代・根津嘉一郎の古美術コレクションを、邸宅を改装して私立美術館として昭和16年(1941)に開館。土地は明治39年(1906)に取得して、同時期に邸宅を建築し、同時に数年がかりで造園した。現在は有限会社晴風苑にて管理されている。
南青山にある根津美術館は隈研吾設計でも知られているが、敷地面積5,000坪の大半は明治時代に作庭された庭園となっている。1枚目の写真は美術館のアプローチであり、その入口に置かれているのが「月の石船」。かつて根津家邸内の指標であった舟形の蹲を朝鮮灯籠と組み合わせ、灯籠の光を月光に石舟の形に三日月をなぞらえている。なおアプローチまでは無料で見学できる。
根津美術館の庭園は、美術館に入館する方のみ見学できる。ちなみに取材したのは紅葉シーズンの土曜日。開館15分前には予約済の方が200人ほど行列。行列の目的はどうやら庭園内にあるNEZU CAFEであり、NEZU CAFE前には行列ができていた。客席数が43席のため、そのために予約にもかかわらず、開館前から行列ができていたようだ。ちなみに美術館を予約していない列は10人ほどで、予約者が先に案内される。駐車場は9台(うち1台は身障者用)あるが、15分前には既に利用できるようになっており、1台も停車していない。開演直後で4台が停車。退館した12時頃も4台と駐車場は意外と空いている印象だ。
弘仁亭・無事庵(こうにんてい・ぶじあん)。明治末に立てられた書院茶室を移築し、四畳半の茶室「無事庵」が隣接している。ちなみに通常は茶室の露地は立ち入り禁止になっているが、「南青山で紅葉狩りキャンペーン2024」期間は、露地(茶庭)が開放されており、写真の露地も普段は見学できない。また「数か月ごとに茶室の一般公開日が設けられているので、公式サイトを確認しよう。
弘仁亭・無事庵の腰掛け待合。腰掛け待合とは、客人が主人を待つ場所であったり、茶会の休憩所として使われ、こちらの腰掛け待合の利用は茶室利用者のみとなっているのが良い。
三段落としの滝石組。
閑中庵・牛部屋(かんちゅうあん・うしべや)。元は斑鳩庵に付属したもので、平成3年(1991)に現在の場所に移築された。
弧を描く延段に目を引かれ撮影。
斑鳩庵・清渓亭(いかるがあん・せいけいてい)。露地門にアプローチする延段が独創的で美しい。
斑鳩庵は江戸時代末期に江戸・本所に建てられた茶室を、益田邸に移築された後、昭和30年に根津美術館へ再び移築された。
披錦斎・一樹庵(ひきんさい・いちじゅあん)。明治32年に大阪に立てられた茶室「一樹庵」を移築。
「吹上の井筒」。池の中に据えた石の井筒は、いまも地下水が噴き出している。
薬師堂の竹林は孟宗竹(もうそうちく)。孟宗竹は特に珍しい種類ではなく、日本各地に見られる竹である
美術館内から撮影。このエリアでの撮影は許可されているが、展示室は撮影不可である。
根津美術館の案内図。 [ 案内図を拡大する ]
○ | 広大な庭園を散策していると、都心にいることを忘れさせてくれる。見どころは露地であるため、露地が公開される紅葉シーズンに訪問するのが良い。 |
× | 露地の公開日が限られている。 |