龍蔵寺は、奈良時代(741)に行基によって創建された山口市最古の寺院。総本山を仁和寺とする真言宗御室派であり、境内には室町時代を代表する水墨家にして作庭家でもある雪舟によって作庭された伝わる池泉庭園がある。行基:奈良時代(733年)に、日本で最初の大僧正(最高位)
雪舟作と伝えられる「流水の庭」は、山畔を背に東西に伸びた池泉を配した池泉庭園である。昭和32年(1957)にモダンな庭園造りで知られる日本庭園史の研究家・重森三玲(しげもり みれい)によって復元。訪問時は水を抜かれた状態であるが、他の記事をみると水は張られており、清掃のため水が抜かれたのだろうか。
入り組んだ複雑な形状をもつ池泉であり、池泉中央部には三尊石風の立石が組まれている。
こちらが三尊石風の立石であり、水が張られた状態でも両脇の石の先端が水面に顔を覗かせている。また三尊石風の石組に相対するように対岸には立石による岩島を据えている。ちなみに、このように水を抜かれた状態は、石の形状をよく観察できる貴重な機会だと感じた。
池泉東部には集団石組がみられる。後述するが別方向から眺めると亀石組にみえる。また、この方向から三尊石風の立石を眺めると、がらりと印象を変え天を突くような鋭い立石となる。
亀石組があるのであれば、鶴石組があると考えるのが一般的である。池泉の対岸にはこのような築山に石組があり、鶴石組と考えられるだろう。中央の石が鶴首石で両側にある石で羽を表現しているのだろうか。
山畔には集団石組がみられる。
山畔から池泉を見下ろすように撮影。すると、左の出島が亀石組になっているように見える。
図解してみると、赤い枠が亀石組であり▼マークが亀首石と思われる。先ほどのカラー写真と見比べて欲しい。
池泉西部を眺めると遣り水が敷かれ、池泉に流れ込むようにもみえるが、
遣り水は池泉に対して下っており、池泉の水が河川に排水される構造になっている。
この場所から池泉中央部を望む。赤で囲んだところが亀石組、青が鶴石組と考えたところである。
鶴石組に近づいて撮影。中央の巨石が先ほど鶴首石と推測した石であるが、こちらから眺めると羽石組にもみえる。
雪舟庭園(流水の庭)を離れ、3段落としの「鼓の滝」を観賞。高さ35mで冬期には凍ることもあるとのこと。隣接する巨大岩とのバランスにより、滝に迫力感を与えている。
龍蔵寺の案内図
○ | 池泉中央に鋭い立石を中心とした三尊石風の石組が印象的である。 |
× | 特に見あたらない。 |