西江寺は室町時代(1365)に創建した臨済宗妙心寺派で、宇和島市最古の寺院となる。別名「えんま様」と称される。作庭時期は重森三玲によると江戸初期(1628)とされ、昭和25年(1950)に愛媛県指定名勝を受けている。
電話で早朝から庭園が開放されていることを確認して、朝7時前に訪問。本日の最終目的地が新居浜市の庭園であるため、朝イチを活用できるのは助かる。
飛石は庫裏から続いているが、途中飛び石が途切れている。
庫裏側の飛石はこのようになっている。推測の域をでないが、飛石の両側にある2つの立石は橋添石であり、ここから対岸に向けて石橋を架けられていることを想像させているのではないだろうか。そう考えると飛石が途切れているのは意図的な意匠と考えられる。
礼拝石から続く飛石は鶴亀石組へと続く。宇和島市の公式サイトを読むと、板状の長石は舟石とされる。
石橋には青石を架け、北側には橋添石、南側は刈込みとしている。他にはない意匠で独特にして美しい。
2つの中島は重森三玲によると右側の小さい中島が鶴島で、左側が亀島と推測している。この時代の鶴亀島は亀島の方が大きいことが通例であることより、このような推測になっている。すると左の亀島の手前の立石が亀尾石となる。そして鶴島と亀島には石橋を架けて、徐々に高さを上げている。
そして西江寺の見どころである枯滝石組をみていこう。まずは大刈込みに囲まれることで品格が高まっている。築山の奥には松と1.4mの遠山石を据えている。二段式の枯滝石組となっており、写真中央手前の山形の石は水を左右に分ける水分石とされる。
枯滝石組に近づいて撮影。写真上が上段の枯滝石組、下が2段目の枯滝石組となる。
枯滝石組の上段を撮影。水落石の両側に滝添石を据え、奥には遠山に見立てた鋭い遠山石を据えている。水落石とは水が流れ落ちる石であるが、水落石が植栽で大半が隠れてしまっているのが残念だ。
遠山石を別角度から撮影。遠山石の左手の立石も意欲的に組まれている。
塔灯籠の下部には三尊石がみられる。
中央出島にはカエルにような奇石が護岸石組を兼用した蓬莱石として表現されている。蓬莱石とは不老不死の妙薬があるとされる蓬莱山に見立てた石である。これにより鶴亀蓬莱庭園となる。
最後に庫裏から飛石を撮影。
○ | 幅広の大刈込みと借景により奥行きと広がりを生み出している。そして非連続な飛石から石橋に繋がる様子も類似例がなく良い。 |
× | 水落石が植栽で大半が隠れてしまっている。 |